【ライター望月の駅弁膝栗毛】
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313系電車、御殿場線・足柄~御殿場間
“箱根の山は天下の険”と唄われたように、箱根越えは昔も今も東海道の難所の1つです。
正月の箱根駅伝を見るだけでも、その険しさは実感できますよね。
東海道本線が開通した明治の鉄道技術では、御殿場回りの線路を敷くのが精一杯でした。
このかつての東海道本線が、今の「御殿場線」(国府津~沼津間)。
主にワンマン仕様の313系電車による普通列車が、毎時1~2本運行されています。
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313系電車、御殿場線・山北~谷峨間
御殿場線では、今も所々、複線だった「東海道本線」の遺構が観られます。
神奈川県内の山北~谷峨間に点在する、酒匂川の橋梁はそのシンボル的存在。
山北駅から富士急湘南バスの西丹沢方面行(松62系統)に揺られて10分弱、瀬戸六軒屋バス停近くからは、第二酒匂川橋梁を望むことが出来ました。
橋げたが、かつての下り線の部分まであるのが分かりますよね。
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D52形蒸気機関車、山北鉄道公園
単線化された戦後の御殿場線で活躍したのが、D52形蒸気機関車。
箱根越えの急勾配が、日本最大級の蒸気機関車のパワーを必要とした訳ですね。
かつて「鉄道の町」としてにぎわった山北町の玄関・JR山北駅前の「山北鉄道公園」には、昭和43(1968)年まで御殿場線で活躍した「70号機」が静態保存されています。
今も不定期で、短い距離ながら圧縮空気を使った“復活運行”が行われています。
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三島宿 箱根山麓豚炙り焼き弁当
“箱根越えにはパワーが必要”ということで、箱根ゆかりの肉駅弁をご紹介!
沼津の駅弁屋さん「桃中軒」が去年(2017年)11月13日に発売した、その名も「三島宿 箱根山麓豚炙り焼き弁当」(900円)です。
実はこの駅弁、去年ご紹介した「三島宿 ぶたのみそ仕込み弁当」のリニューアル。
一体、どんなリニューアルが行われたのでしょうか?
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三島宿 箱根山麓豚炙り焼き弁当
【お品書き】
・白飯
・箱根山麓豚の炙り焼き
・ブロッコリー
・花人参
・香の物
・わさび
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三島宿 箱根山麓豚炙り焼き弁当
三島ブランドにも認定されている「箱根山麓豚」を、「伊豆みそ」や醤油で作った特製のたれに漬け込んで焼き上げた駅弁で、お好みでピリッとわさびを付けていただきます。
これまでの味噌だれに醤油を加え、たれの配合比を変えることで「冷めてもおいしい」を追求、より一層、肉のうま味を引き出した濃厚な味わいとなりました。
肉にうっすら付いた焦げ目が、実に食欲をそそります!
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313系電車、東海道本線・三島~沼津間
より安全で効率的な箱根越えを追求して生まれた、今の熱海・三島回りの東海道本線。
一方で御殿場線には、昔の人たちが箱根越えと闘った跡がしっかり残されています。
そんな“鉄道員”たちの箱根越えの闘いの歴史に思いを馳せながら、「冷めても美味しい」を追求した箱根山麓豚の駅弁をいただけば、きっと味わい深いはず。
御殿場線で続く25パーミルの登り勾配を、あるいは丹那トンネル(新丹那トンネル)の長さに箱根の山の険しさを感じながら、いただいてみてはいかがでしょうか。
連載情報
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ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/