【ライター望月の駅弁膝栗毛】
東京と新青森・新函館北斗を結ぶ、東北・北海道新幹線「はやぶさ」。
最も速いタイプの「はやぶさ」は、東京・大宮・仙台・盛岡・新青森・新函館北斗のみに停まり、東京~新函館北斗間は、およそ4時間で駆け抜けます。
一方で、中には盛岡以北で各駅停車となる“区間快速”のような「はやぶさ」もあり、コチラは全線をおよそ4時間30分で走破しています。
この“各停”「はやぶさ」が盛岡を出て最初に停まるのが「いわて沼宮内(ぬまくない)駅」。
岩手県岩手郡岩手町にある、“岩手の中の岩手”と言っても過言ではない駅です。
東北新幹線各駅の中でも、この駅は“出世駅”。
新幹線開業前、この区間を走っていた東北本線の特急「はつかり」は通過していたのですが、今は「はやぶさ」が1日8往復、ほぼ2時間に1本、停車しています。
そんな「いわて沼宮内駅」の実質的な駅弁を手掛けているのが、岩手町内にある精肉店「肉のふがね」です。
1/23まで行われた京王百貨店新宿店の「第53回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」では前半のおよそ1週間、今年も全国の“うまいもの”のエリアに出店、人気を博しました。
「駅弁膝栗毛」でも、2年前に現地を訪問、ご紹介していますね。
今回、京王の駅弁大会では、看板商品の「岩手短角牛やわらか煮弁当」(1,480円)1本に絞って販売が行われました。
それというのも、今までよりバージョンアップしたからなのだそう。
肉についても再考を重ね、ご飯もリニューアル。
岩手・水沢産の“金札米”というブランドで知られる「ひとめぼれ」にこだわったそうです。
盛岡冷麺に使うチャーシュー作りの失敗から生まれた「岩手短角牛やわらか煮」。
肉が脂肪少なめであっさりしているのに、しっかりと旨みがある優しい独特の食感は、「牛肉にもこんな味わいがあるんだ!」という新たな発見に感じることでしょう。
ふき、人参、椎茸、栗、梅・・・それぞれのおかずも岩手県産。
特に椎茸は隣町・葛巻産、梅干は岩手を代表する「及川農園」のものを使用しています。
「肉のふがね」の府金専務によると、最近は「いわて沼宮内駅」に停まる新幹線のお客さんからの注文にも、対応して下さっているそうです。
事前に電話予約(0195-62-2403)する際に、「乗る列車(はやぶさ○○号)」、「乗っている号車(○号車)」、「ドアの位置(前より、後より)」を伝えておき、お釣りの無いように現金を用意。
すると、いわて沼宮内駅の停車時間(1分間!)に、新幹線のホームまで弁当を持って来てくれて、お金と引き換えでいただくことが出来るという訳なんですね。
『いわて沼宮内でなかなか降りる機会がない・・・』とぼやいていたアナタも、これなら気軽に“やわらか煮”の食感を楽しめますね!
盛岡以北“各停”の「はやぶさ」に生まれた、新たな楽しみ。
この春は青函トンネル開業30周年で、仙台以北はお得なきっぷの販売も予定されています。
青春18きっぷ旅でも、盛岡~八戸間は3セク利用でも新幹線利用でも、料金に大差はありませんので、新幹線でワープしながら食事タイムに充てるのもアリ。
円滑に弁当の受け渡しが出来るように、くれぐれもお釣りの無いようにお金をご用意下さい。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/