【ライター望月の駅弁膝栗毛】
富士山をバックに山を駆け下りてくるのは、313系電車の御殿場線・沼津行。
宝永火口を間近に望んで、ダイナミックな富士山が楽しめるのは御殿場線ならではです。
昭和9(1934)年まで、このルートが東海道本線であり、沿線には今ほど建物が無かったことを考えますと、明治・大正の人たちは、今以上に圧巻の景色を眺めたに違いありません。
ただ、当時は蒸気機関車でしたから、真っ黒な煙も凄かったのかも!?
さて、今は御殿場線の西端となっている沼津は箱根越えに際し、機関車の付替えが行われ、「沼津までぬまず(飲まず)食わずで・・・」という言葉が生まれたくらい駅弁ゆかりの駅。
一方で、沼津は新鮮な魚が水揚げされる港町としても有名です。
そんな沼津らしい駅弁が、今年2月6日、「桃中軒」から登場しました。
その名も「港町沼津の駅弁屋発 こだわりの焼き魚弁当」(白めしタイプ、1,080円)です。
【お品書き】
・鰆の幽庵焼き(柚子風味)
・駿河湾特産 桜えびのかき揚げ
・煮物(筍、人参、椎茸、絹さや)
・春雨サラダ
・玉子焼
・香の物
・白飯
港町をイメージして青色をベースに高級感を演出したというスリープ式の包装を外すと、おかずとご飯の二段重ねになっていました。
実はご飯は「白めしタイプ」と100円増しの「桜えびめしタイプ」の2種類があります。
特にご飯の折詰には、お櫃効果のある木製容器を使ったところも「こだわり」。
魚はもちろん、ご飯への愛がたっぷり注がれているのも、駅弁屋さんならではですね。
そして、最大のこだわりは、なんといっても「冷めても美味しい焼き魚」!
春らしく鰆を幽庵地に漬けて焼き上げています。
やっぱり、柚子の香りは食欲をそそりますよね。
「桃中軒」によると、冷めても美味しくいただける魚を厳選、魚にあった調理法を検討し、社内のみならず、社外アンケートを実施して、何度も改良を繰り返し、商品化したのだそう。
“初回の”焼き魚は鰆・・・とのことですので、今後いろんな魚が登場する可能性も?!
その意味でも、丁寧な作りの弁当の中に、繰り返し買ってみたくなる仕掛けも作っているのが、とても興味深く感じました。
御殿場線の313系電車は、身延線と共通の運用が組まれており、駅弁をいただきやすいボックスシートの車両も多く使われています。
駅弁旅をするなら、ねらい目は日中の「ワンマン運転」の列車。
時刻表に載っている列車番号の末尾が「G」の列車が1つの目安となります。
今回の記事の中に2枚の313系電車の画像をアップしていますが、慣れてくれば、どっちの313系電車のほうが「駅弁を楽しみやすいか」、分かるようになりますよ。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/