【ライター望月の駅弁膝栗毛】
国鉄がJRになって30年あまり。
国鉄時代の車両はどんどん姿を消していますが、この春は長年、特急「あさま」や「あずさ」として首都圏と甲信地方を結んできた189系電車が引退します。
特に昭和33(1958)年運行開始、特急「こだま」号以来のクリーム色に赤い帯を巻いた「国鉄特急色」の編成は、首都圏では見納めということもあり、人気を集めています。
189系電車は昭和50(1975)年、上野~長野間の特急「あさま」用として、急勾配が続く横川~軽井沢間の電気機関車との協調運転に対応した特急用車両として登場。
その後は、中央本線の特急「あずさ」などでも活躍しました。
現在1編成は、昭和63(1988)年に登場した「グレードアップあずさ色」で最後の活躍中。
実は私も、最初の「あずさ」乗車体験は、このグレードアップあずさだったんですよね。
1990年代後半から2000年代はじめにかけて、189系電車は「あさま」や「あずさ」から引退。
首都圏の臨時列車、特に新宿~河口湖間の臨時快速「ホリデー快速富士山」を中心に活躍してきましたが、まれに中央本線の特急「かいじ」「あずさ」などで走ることもありました。
1編成は「あずさ色」として活躍しましたが、コチラはひと足早く、1月に引退。
特急色とグレードアップあずさ色の編成は、4月下旬の団体列車で引退と発表されています。
残る189系電車は、長野を中心に活躍する「あさま色」の1編成のみ。
北陸新幹線長野開業で、在来線特急「あさま」として活躍した後、20年近くにわたって、長野~直江津間の「妙高」号として活躍し、新幹線の金沢開業でその役目も終えました。
現在は長野地区で早朝の通勤ライナーや臨時列車として走っていますが、コチラも数年以内には引退する見通しと伝えられています。
189系電車は、この週末で「ホリデー快速富士山」としての運行は終了となります。
もしもこの週末、「ホリデー快速富士山」に乗車するチャンスがあるなら、甲信地区を中心に活躍した189系電車のはなむけに、目いっぱいのご馳走駅弁を楽しみたいところ。
ならばやっぱり、「小淵沢丸政の信州牛御瓣當」(1,980円)でしょう。
実は去年(2017年)秋から、東京駅・新宿駅などでの販売が復活しています。
駅弁膝栗毛では何度かご紹介している「信州牛御瓣當」ですが、実は去年(2017年)の「駅弁味の陣」参戦に当たり、東京でも毎日販売されるようになって少しリニューアル。
炭火焼きのA4・A5ランクの信州牛の美味しさはそのままに、ご飯との間にあったキャベツに代わって、焼海苔が敷かれています。
「丸政」によりますと、東京で毎日販売を実現する上で、安全性を優先したとのこと。
鉄道が安全最優先なのと同様、鉄道と共にある食事「駅弁」も安全最優先なのです。
昭和50(1975)年・静岡生まれの私自身、物心ついた時には新幹線がありましたので、正直なところ、「クリーム色に赤い」国鉄特急というのは“鉄道図鑑の中のもの”でした。
その中で初めて、実物の国鉄特急を見て嬉しかったのが、183系「あまぎ」(現・踊り子)。
東海道の183系はその後、信州に移ったこともあり、「あずさ」も好きになりました。
183系(189系)の赤帯は、正面から見ると、上がシュッと斜めに入っているのが望月好み。
最後の活躍をマナーよく見守りながら、ラストランまで安全に走り抜けてほしいものです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/