【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「鳥取県」は、東京に住んでいると、懐の深い県ではないかと感じます。
東京・世田谷区の人口(約89万人)より、県全体で約30万人少ない(約58万人)にも拘らず、世田谷区がおよそ60個も入る面積があって、ゆったりと暮らすことが出来る訳ですから。
そんな鳥取への足となるのが、京都~鳥取・倉吉間を走る特急「スーパーはくと」。
東京からは、新幹線「のぞみ」で姫路乗り換え、およそ4時間半の道のりです。
今回、気付かされたのは、意外に「鳥取が近い」ということ。
振子機能のある「スーパーはくと」は、姫路~鳥取間を約1時間半で走破してしまいます。
しかも、HOT7000系は窓側にしっかり電源コンセントが付いており、車内無料wi-fiも!
指定席も砂丘の風紋をイメージし、木目を取り入れ、落ち着いたフカフカのシートです。
鳥取らしい、ゆったりとした気持ちになれる、快適な列車と改めて感じさせられました。
ただ、「スーパーはくと」も運行開始から既に20年以上、今後は置き換えの話も・・・!?
どのようにバージョンアップさせていくのか、ちょっと楽しみです。
さて、鳥取の懐の深さは、食の世界にも言えること。
特に冬場はカニをはじめとした魚介類の印象がありますが、実は鳥取、江戸時代から和牛の産地として、血統のいい牛が受け継がれてきた土地柄なんです。
そんな鳥取駅を代表する牛肉駅弁といえば、「アベ鳥取堂」の「鳥取牛弁当」(1,190円)。
紐を引っ張ると、蒸気で温まる加熱式駅弁です。
「アベ鳥取堂」特製のたれで鳥取牛を柔らかく煮込んだ、パッと見、よくある牛肉駅弁ですが、実は薬味が工夫されています。
まず、センターにちょこんと載った「白髪ねぎ」との相性がいい!
そしてご飯が、気持ちピリッと引き締まる「山椒ご飯」なのも食欲をそそるんですよね。
鳥取旅で魚介に飽きてしまった時、実は肉もいいゾ! ということを体感できる駅弁です。
鳥取県内の東西の移動には特急「スーパーはくと」はもちろん、その先・米子や松江方面に向かう「スーパーまつかぜ」などの特急列車が快適。
鳥取~米子間は高速化工事が行われたこともあり、およそ1時間で結ばれています。
また、特急列車が空く時間帯には、キハ126系の快速「とっとりライナー」も運行。
ゆったり・スピーディーに移動するなら特急や快速、のんびり汽車旅を楽しむなら普通列車と使い分けながら、鳥取の鉄道旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/