【ライター望月の駅弁膝栗毛】
広い構内を持つ上越線の石打駅に、2両編成のE129系電車が入ってきました。
石打駅が広いのは、上越線開業時から水上~石打間は電化されていたため、石打で機関車の付け替えが行われていたことに由来するものです。
かつては、特急「新雪」や快速「シーハイル上越」といった石打発着のスキー列車が運行されていましたが、最近はガーラ湯沢発着の上越新幹線「たにがわ」に集約された感じですね。
石打駅には今も、スキー列車華やかな頃を彷彿とさせる団体改札が残っています。
そんな駅の一角に「伝言板」を見つけて、思わず懐かしさでいっぱいになりました。
携帯電話が普及して20年あまり、「待ち合わせ」の概念は大きく変わりました。
ひょっとしたら、この伝言板が育んだ“スキー場の恋”もあったのでしょうか?
石打駅が誇る「伝言板」、ぜひこのままにしてほしい昭和の鉄道遺産だと思います。
機関車の付け替えが行われた石打駅は、必然的に「停車時間の長い」駅となりました。
「長い停車時間」が育むのが駅弁文化。
現在、越後湯沢駅の駅弁を手掛ける「川岳軒」も、元々は石打駅の駅弁屋さんです。
そんな「川岳軒」の駅弁で、以前ご紹介した「いくらたらこめし」と並んで、人気となってきているのが、「牛~っとコシヒカリ」(1,100円)です。
【お品書き】
・白飯(魚沼産コシヒカリ)
・牛肉煮(新潟県産牛)
・玉子焼き
・かまぼこ
・干し大根
魚沼地域伝統の調味料を隠し味に、継ぎ足し継ぎ足し使われている秘伝のたれで味付けされた牛肉は、雪国らしい、甘めで濃厚な味付けが印象的。
スキーなどで1日体を動かした方には、ちょうどいい甘みのように感じます。
元々、白飯だけでも食べられる魚沼産コシヒカリの上にたっぷりの牛肉が載っていますから、ついついご飯だけ、あるいは牛肉だけいただいてしまう・・・なぁんてことも!?
ぜひ強く「意識して」、ご飯と牛肉をバランスよくいただいてみて下さい。
越後湯沢駅の「川岳軒」駅弁売場(兼・そば店)は、去年、改札外に少し移動しました。
今は毎時1本程度のローカル列車が走る上越線ですが、昭和57(1982)年の上越新幹線開業まで在来線特急「とき」「いなほ」「はくたか」といった特急や急行が行き交っていました。
冬はこれにスキー客向けの臨時列車が加わって、高速道路もなかったわけですから、それはにぎやかな路線だったことでしょう。
春休み、残雪を眺めて、のんびりと沿線のスキー場を眺める旅もイイですね。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/