【ライター望月の駅弁膝栗毛】
東日本の非電化ローカル線で活躍するキハ110系気動車。
福島県の郡山といわきを結ぶ磐越東線(ばんえつとうせん)もそんな路線の1つです。
普段は1~2両編成ですが、朝夕の登下校時間帯は4両編成で走ることも・・・。
この日の小野新町行は、新年度が始まったばかりの下校生徒を一杯乗せてやって来ました。
ローカル線で少し長い編成の列車がやって来ると、ちょっぴり嬉しい気持ちになりますね。
4月上旬~中旬は、例年、磐越東線が1年で最も混雑する時期。
というのも、磐越東線・三春駅は、日本三大桜の一つに数えられる「三春滝桜」の最寄駅。
三春駅では列車が着くのを待って、臨時バスの「滝桜号」が発車します。
往復のバス料金(途中停留所で乗降フリー)と観桜料が一緒になったチケットが「1,000円」で販売されており、乗車前にがま口を開けた係員さんが発行してくれます。
三春駅から「滝桜号」で20分弱、バス発着所から5分ほど歩くと、左手の小高い丘の斜面にひときわ大きな桜が現れました。
実は初めて訪れたのですが、これは大きい!
木の高さ13.5m、根回り11.3m、樹齢1,000年以上とされ、国の天然記念物にも指定されているベニシダレザクラ・・・これが「三春滝桜」なのです。
聞けば、今年は咲き始めてからわずか数日で、満開になってしまったとのこと。
訪れた日は午後でしたので、順光となる丘の上に回り込んでみると、里山を背景に、滝桜と菜の花との共演を楽しむことが出来ました。
「三春滝桜」を正面から順光で撮るなら、朝イチが良さそう。
東北新幹線の下り始発「やまびこ41号」、続く「つばさ121号」への乗車が必須ですね。
「三春滝桜」の花見旅にピッタリの駅弁といえば、郡山では春の定番!
郡山駅弁の「福豆屋」が製造・販売している「三春滝桜べんとう」(1,050円)でしょう。
満開の滝桜(夜桜バージョン)と、桜の花びらがいっぱいに描かれた風情ある掛け紙。
デザインは変わりながらも、「日本三大桜」の文字と共に「梅と桃と桜がいっぺんに咲く、三春の里 そこは幻の桜源郷・・・」のフレーズは、毎年おなじみのものです。
【お品書き】
・筍ごはん
菜の花醤油漬、桜の花塩漬
・煮物
油揚げ、椎茸、こんにゃく、たけのこ、人参、ふき
・さわら西京焼
・鶏肉のバジル焼
・玉子焼
・にしん昆布巻
・うぐいす豆煮
・ふきみそ
・漬物
・桃シロップ煮
ふたを開けると、フワッと桜の香りが漂って、座席の周りが春になります。
筍ごはんは今どきらしく、味付けも量も抑制が効いた上品な作り。
ご飯は少なめ、おかずの種類は多め、女子ウケも良さそうな構成です。
実は日本三大桜の中で、駅弁になっているのは「三春滝桜」だけ。
たった1本の樹木をテーマに駅弁が出来てしまうほど、別格の存在であることが伺えます。
その意味でも、「三春滝桜」を見て、この駅弁をいただかないのは勿体ない!
今年(2018年)の滝桜の見ごろは、この週末’4/14,15)くらいまでとみられますが、「三春滝桜べんとう」は5月中旬ごろまで楽しめるということです。
車窓の桜も楽しめる、この時期の磐越東線。
郡山~三春~船引間は、Suica(仙台エリア)も利用できます。
一方、春の青春18きっぷの期間は終わりましたが、4月16日までは東日本・北海道エリアの快速・普通列車が1週間乗り放題の「北海道&東日本パス」(10,850円)も販売中。
今年は桜前線を追いかけて、東北へ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/