【ライター望月の駅弁膝栗毛】
地元JAによる米の貯蔵施設をバックにやって来たのは、秋田新幹線E6系「こまち」。
水田地帯の真ん中を、真っ赤な流線形の車体が颯爽と走り抜けていきます。
この地域を代表する米といえば、何と言っても「あきたこまち」。
大きな建物の中でも、品質を管理された「あきたこまち」が出荷を待っていることでしょう。
やはり、米の「あきたこまち」があってこその、新幹線「こまち」でもあります。
昭和59(1984)年に登場した、秋田を代表するブランド米「あきたこまち」。
今の秋田県湯沢市に生まれたとされる、美人として名高い平安時代の歌人・小野小町にちなんでネーミングされました。
その初期の精米袋を彷彿とさせる秋田美人の掛け紙が印象的なのが、秋田駅弁「関根屋」の幕の内弁当「あきたこまち弁当」(1,000円)です。
(参考)JA全農あきたホームページ
【お品書き】
・白飯(秋田県産あきたこまち)
・鮭塩焼き
・エビフライ
・焼売
・とんぶり入り蒲鉾
・玉子焼
・秋田県産まいたけ天ぷら
・煮物(ふき、ぜんまい、がんも、さつまいも甘露煮)
・しそ巻大根漬け
鮭の塩焼き・玉子焼・蒲鉾という、幕の内“三種の神器”の中でも、特産の「とんぶり入り」のかまぼこが特徴的です。
加えて、地元産舞茸の天ぷらや漬物など、数々のおかずが秋田らしさを演出します。
それでも主役は、お米の「あきたこまち」!
地元JAが「冷めても美味しい」と銘打つだけあって、駅弁でいただいてもやっぱり美味しい。
白い米の美味しさを改めて実感できる、米どころの幕の内です。
秋田新幹線「こまち」が走る田沢湖線は全線、レールの幅が標準軌の1,435mm。
このため普通列車の701系電車も、標準軌の5000番台が充当されています。
ロングシートが基本の701系ですが、5000番台にはクロスシートも設置。
田沢湖線を直通する普通列車は、かなり希少な存在ですが、タイミングが合えば、のんびりとあきたこまちが育つ田んぼを眺めながら、駅弁旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/