ボウガンなど武器を弦楽器に改造して全国を演奏して廻っている男のストーリー

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番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】

きょうは「武器」を改造して「楽器」に変え、平和への祈りを込めた演奏活動を行っている男性の、グッとストーリーです。

埼玉にて初めてボウガンを改造した楽器「地涌・JIYU」で演奏した「ボウガンのメロディ3・14」

2015年8月、広島に原子爆弾が落ちてから、ちょうど70年目の夏……原爆ドームの前で、平和を願い、弦楽器を奏でる人がいました。足を止めた人々の顔には「エッ!」という驚きの表情が。それもそのはず、演奏者が手にしている楽器は、通常のバイオリンやヴィオラではなく、弓矢を銃のように放つ「ボウガン」を、弦楽器に改造したものだったからです。

「人はこれまで、多くの武器を作ってきました。原爆を作るのも人間ですけど、武器を楽器にして平和を奏でるのも、また人間なんです」と語るのは、栃木県鹿沼市に住む、斎藤英夫(さいとう・ひでお)さん・67歳。自ら改造を手掛けたこの楽器、本来は矢を置く台座の部分にヴィオラの弦を張り、バイオリンの弓で弾くと、独特の哀愁のある音色を奏でます。

ボウガンを改造した「地涌・JIYU」

「地涌・JIYU」の糸巻き部分アップ

物事に取り組むと、何でも深く追究するタイプの斎藤さん。中学生の頃からクラシックギターを学び、若い頃は、オートバイのモトクロスの選手として活躍。日本チャンピオンに輝いたこともあります。

「自分でバイクをチューニングしていましたから、機械いじりはお手の物なんです」という斎藤さん。モトクロスの選手を引退後、「バイクのチューニングは、楽器の音作りにも通じる」と、音楽理論を深く研究。楽器作りにも取り組むようになりました。2007年には弦楽器に取り付けると格段に音がよくなる、特殊な音叉(おんさ)の開発にも成功。来日した世界的なチェロ奏者に試し弾きをしてもらい「素晴らしい音だ!」というお墨付きももらいました。

斎藤さんが完成させたオリジナルの音叉(ギター用)

「美しい音色は、人の心を穏やかにしますし、平和にもつながるんです」という斎藤さん。ある日、地元の銃砲店の店先で、たまたまボウガンを目にして、こんなアイデアがひらめきました。

「この矢を弦に置き換えたら、楽器になるんじゃないか? 武器を楽器に変えて、平和を願う曲を演奏すれば、これは強いメッセージになるはずだ」

斎藤さんはさっそく、ボウガンを購入。それから5年かけて試行錯誤を重ね、納得のいく音が出る「弦楽器」に改造したのです。バイオリンやチェロと違って、音を共鳴させる胴体の部分がないため、アンプにつないで演奏しますが、その音色は、普通の弦楽器と比べても何ら遜色はありません。

益子の夏祭りでギターを奏でる斉藤さん

反響は大きく、斎藤さんはあちこちの演奏会に出演するようになりましたが、「ボウガンだと、中には怖がる方もいらっしゃるので、姉妹作として、こんなのも作ってみました」。それは、野球のバットに4本の弦を張った弦楽器。バイオリンやチェロにも使われるメイプル材のバットを使い、こちらも試行錯誤の末に完成させました。名付けて「イチロー3000」

バットを改造した「イチロー3000」

「野球は、平和の象徴です。『イチロー3000』を弾いて、反戦を訴えていきたい」という斎藤さん。さらに第3弾として、アーチェリーも弦楽器に改造しました。この3本の手作り楽器で斎藤さんが演奏しているレパートリーは50曲以上。バッハ、ビートルズに、卒業式の定番『仰げば尊し』も…

アーチェリーを改造した「平和へのミロンガ 9・8」

アーチェリーを改造した「平和へのミロンガ 9・8」の糸巻き部分アップ

「『仰げば尊し』は第二次大戦中、中学校を卒業する前に、強制収容所で亡くなったアンネ・フランクに贈ろうと思って、毎回『これから、アンネの卒業式をします』と言って演奏しています」…そう語る斎藤さんは、今後も全国を演奏して廻る予定です。

「北朝鮮のミサイル発射、シリア爆撃など、平和を脅かすキナ臭い出来事が続いていますが、武器で作った楽器で、お客さんの心を癒やして、平和を訴えていきたいですね」

アーチェリーを改造した楽器「平和へのミロンガ 9・8」での演奏 ピアノを弾いたのはお孫さん

出張演奏依頼など、連絡先は 090-5762-8079(斎藤)まで

【10時のグッとストーリー】
八木亜希子 LOVE&MELODY 2018年4月28日(土) より

八木亜希子,LOVE&MELODY

番組情報

LOVE & MELODY

毎週土曜日 8:30~10:50

番組HP

あなたのリクエスト曲にお応えする2時間20分の生放送!
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