【ライター望月の駅弁膝栗毛】
日豊本線の竜ヶ水~鹿児島間は、桜島を望みながら錦江湾に沿って走る絶景区間。
今から20年近く前、私が青春18きっぷを使って初めて鹿児島を訪れた時は、肥薩線回りでこの景色を眺めながら入ったのですが、ちょうど目の前の桜島が活動中。
当時活躍していた475系電車の二段窓のすき間から火山灰が入り込んで、目がショボショボ、口の中がジャリジャリした記憶が甦ります。
そんな鹿児島、今年は大河ドラマで注目を浴びています。
今年1年間の期間限定、鹿児島中央駅で販売されているのがその名も「隆盛飯」(1,000円)!
西郷隆盛の好物を詰め込んだという幕の内系の駅弁です。
掛け紙にも桜島、島津家の家紋、「飯」の文字が大きく描かれています。
製造元は、2000年代から鹿児島中央駅の駅弁に参入している「ますみつ」です。
【お品書き】
・ご飯
・とんこつ
・薩摩揚げ
・鰻手毬すし
・芋天
・鶏肉炭火焼
・蒲鉾
・煮物
・ごま団子
西郷さんの好物はとんこつと鰻、それに奄美時代によく食べていたという芋天を加えました。
鰻はひと手間加えて手毬寿し、奄美にも踏み込んだ構成が目を引きますが、特筆すべきは、何と言っても、絶妙なやわらかさに仕上がった「とんこつ」!
「ますみつ」によると、1日目に味噌ベースのたれに漬け、2日目に焼いてから煮込んで、そこから3日目にかけて寝かせて作るという、手の込んだ「とんこつ」なんだそうです。
骨に喰らいついて、口の周りを汚しながら、肉の旨味をいっぱいに感じる喜び!
西鹿児島駅の時代から、駅弁には「とんこつ弁当」があったことを思い出しました。
西鹿児島改め、鹿児島中央の駅には、やっぱり「とんこつ」の駅弁がよく似合うものです。
鹿児島中央駅の近く、甲突川の河畔は、西郷隆盛や大久保利通をはじめ、鹿児島が生んだ明治の先人たちのゆかりの場所。
列車待ちの時間を活かしながら、プチ歴史散歩が気軽に楽しめますよ!
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/