【ライター望月の駅弁膝栗毛】
鹿児島地区をはじめ、九州各地の普通列車として活躍するのが817系電車。
見た目はブラックフェイスのアルミ車体ですが、車内には木材と本革を使った転換クロスシート(座席の向きを自由に変えられるシート)が並びます。
また、ドア付近はつり革が円形に配置されており、九州ならではのデザイン。
ラッシュ時間帯、ドア付近のつり革に届きにくい場所に押し込まれてしまうと、首都圏にもこの九州タイプのつり革の配置があってもイイのになぁ・・・と思ったりします。
一方、鹿児島エリアのラッシュ時間帯に活躍するのが、国鉄形の415系電車。
首都圏では常磐線を中心に活躍しましたが、既に2年前(2016年)、「引退」しています。
実は鹿児島エリアで走る415系電車(500番台)もルーツを辿れば、元は常磐線の電車。
国鉄末期、一部はJRになってから、九州に活躍の場を移した車両なんです。
幕末は「黒豚」、今は415系電車で、薩摩と水戸は繋がっているとも言えましょう。
常磐線時代、415系電車の車庫は、水戸の1駅先“勝田(かつた)”だったということで、今回は、薩摩と水戸を繋ぐ、黒豚の“カツ”駅弁をご紹介しましょう。
その名も「鹿児島黒豚 とんかつと焼肉御膳」(1,200円)!
出水を拠点に鹿児島、九州の駅弁を手掛ける「松栄軒」の製造です。
最近は常磐線の電車も乗り入れるようになった東京駅でもしばしば見かけます。
【お品書き】
・味付け飯
・黒豚とんかつ
・黒豚たれ焼き
・煮物(筍、椎茸、人参)
・玉子焼き
・うずら豆
・柴漬け
・紅生姜
黒豚のたれ焼き、食べ応えあるV字カットの筍の煮物など、「松栄軒」ならではの味。
加えて、隠れた駅弁の楽しみ方として知っておきたいのが、ソースなどの調味料です。
この駅弁では、とんかつ用に鹿児島市内の「藤安醸造」のソースが入っていました。
全国ブランドではなく、ご当地のソースをお試し感覚でいただけるのは嬉しいもの。
実は駅弁屋さんの中には、ソースや醤油にこだわりを持ったお店も多いのです。
駅弁に添えられた小さなソースパックもしっかりチェックすると、より深く味わえますよ!
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/