記録的な猛暑はいつまで? スマホの扱いに注意!
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【報道部畑中デスクの独り言 第71回】
猛暑の今年は7月23日に埼玉県熊谷市で41.1℃の最高気温を観測、ついに国内観測史上最高の記録を更新する事態となりました。東京都内でも初めて40度を超える気温を青梅市で記録(40.8℃)、猛暑はいつまで続くのか…不安視される中、気象庁ではこの日、緊急記者会見が行われました。
「“一つの災害”という認識はある」
気象庁の担当者はこのように表現しました。熱中症により全国で毎日のように尊い命が奪われ、何千もの人が救急搬送される事態はもはや台風や豪雨に劣らぬ「気象災害」と言っていいと思います。
前回の小欄でもお伝えした通り、今回の猛暑は日本列島を西寄りに伸びる太平洋高気圧に上空のチベット高気圧が強まり、高気圧がいわば「二階建て」の状態になっているのが主な原因です。23日の関東の猛暑はこれに加えて北からの乾いた風がフェーン現象を起こして気温をさらに上昇させたとみられています。
関東北部からの風は俗に「からっ風」と呼ばれ、冬場は厳しい寒さをもたらしますが、乾いた空気ゆえに夏は暖かい空気をさらに暖かくする作用を持つというわけです。気象庁によりますと、11年前、2007年8月16日にやはり熊谷市で40.9℃を観測した時と状況が似ているということです。
そして気になる今後ですが、太平洋高気圧は来週、一時的に弱まるものの、チベット高気圧との「二階建て」の状況は少なくとも来月上旬まで続くと気象庁は予想しています。外出した時に吹く熱風、扇子であおいでも熱い空気がグルグル回るだけの状態はまさに「サウナ」のようでウンザリの毎日ですが、東日本から西日本にかけて熱中症への注意はしばらく必要です。
さて、この猛暑については、連日ニッポン放送でも取り上げています。もちろん冗談でなく「命の危険のある暑さ」ですから、繰り返しお伝えすることは大きな意味があると思いますが、そうは言っても、マスコミの性といいますか、様々な視点で知恵を絞ってお伝えしています。小欄でも猛暑にあたっての心づもりを一つ。生活の中にすっかり溶け込んでいるスマホについてです。
「iOSデバイスは環境温度が0℃~35℃の場所でお使いください」
Appleのサポートページには「動作温度と温度管理」についての項があります。iOSデバイスとはiPhone、iPad、iPodのこと。つまり環境温度(周囲の温度)が35度を超える、猛暑日のような気温の場所では使用を控えるべきということになります。さらに保管場所についても「-20℃~45℃」の間に指定されています。これらはしっかり明記されています。
電池関連のエンジニアに聞いた話ですが、スマホなどの携帯電話に装てんされているリチウムイオン電池は一般に内部(具体的に言うと電解液中)で40度あたりを超えるとフッ酸が発生して電極の銅やアルミニウムを徐々に溶かしていき、最悪ショート、発火や爆発に至る可能性があります。
また、起電力にもよりますが、携帯電話用のリチウムイオン電池はエネルギー量で見た場合、TNT換算2g分に相当するそうです。「TNT換算」とはTNT=トリニトロトルエンという化学物質でできた火薬のエネルギーに置き換えたもので、爆弾の威力を示す数値として使われます。
例えば広島に投下された原爆はTNT換算で15キロトンに相当するそうです。リチウムイオン電池はもちろんこうしたものとは比べるべくもありませんが、換算に値するエネルギーは持っているということになります。ではこれが発火・爆発した時の威力はどんなものか…携帯電話ぐらいの大きさですと、「手に持っていたら確実に指が吹っ飛ぶ程度」だということです。
機種によって事故を未然に防ぐ対策は施されていますが、(例えばiPhoneの場合は「高温注意」という画面が出て注意を促します)炎天下の車内、特にダッシュボードのあたりは簡単に60℃~70℃に達します。うっかり屋外で車にスマホを置き忘れることは厳禁です。これはモバイルバッテリーも同様です。NITE=製品評価技術基盤機構でもスマホやバッテリー放置によって、事故につながる可能性はあると話しています。
仮に発火には至らなくても、高温状態でスマホを放置することは、電池の寿命を大きく下げることになります。猛暑を機に、何気なく使っているスマホについても改めて心に留めておきたいと思います。