【ライター望月の駅弁膝栗毛】
世代交代が急ピッチで進む中央線特急。
平成29(2017)年末、「スーパーあずさ」としてデビューしたE353系電車ですが、今では9両編成の「あずさ」「かいじ」号として走る列車も多くなってきました。
E353系電車が使われる「あずさ」「かいじ」では、中央線各停車駅のLED掲示板にも「新型」と表示され、各席に電源コンセントも付いた新型車両をアピールしています。
この秋、すっかり“少数派”となっているのは、平成13(2001)年デビューのE257系電車。
特急「かいじ」号は、今年で昭和63(1988)年の誕生から、30年の節目を迎えました。
元々は甲府発着の「あずさ」号を、「かいじ」号として分離し、分かりやすくした列車。
日中は基本、新宿毎時30分発で、八王子から先、大月・塩山・山梨市・石和温泉と山梨県内の各駅に細かく停車していくのが特徴です。
中央線をダブルで支える「あずさ」「かいじ」号に揺られて、新宿から1時間あまり。
長い笹子トンネルを抜けると、下り列車進行左側の車窓に、勝沼から塩山にかけてのぶどう畑が広がり、その向こうに甲府盆地が一望できる区間があります。
これは甲府盆地の山裾をぐるりと弧を描くように走っている中央線ならではのお楽しみ!
車窓の変化が楽しい中央線特急の中でも、特に“しあわせな気持ち”になれる区間です。
こんな甲州のぶどう畑を眺めていただきたい駅弁が出来ました!
その名も、「甲州Wワイン弁当(しあわせ甲斐)」(1,100円)。
大正7(1918)年創業の小淵沢駅弁「丸政」が、この10月から販売を開始した駅弁です。
久しぶりに“しあわせ甲斐”というサブタイトルも付いて、名駅弁「元気甲斐」以来の原点回帰を感じさせてくれます。
【お品書き】
・茶飯
・赤ワインソースのジューシーハンバーグ
・白ワインソースの炭火焼肉
・ポテト
・ミックスベジタブル(人参、とうもろこし、グリンピース)
・煮物(たけのこ、いんげん、山菜、人参)
・錦糸玉子
・桜漬け
“丸政100周年記念弁当”にふさわしく、レトロ感あるカラフルな包装を開けると、甲州らしい赤ワインソースのハンバーグと、白ワインソースの炭火焼肉がWで楽しめる駅弁。
ハンバーグの赤ワインソースが食欲をそそるのは勿論、「丸政」十八番の炭火焼肉が白ワインソースでひと味変わって、こってりし過ぎず、体にスッと入っていく食感になっています。
ワインが“赤白(紅白)”なのも100周年らしいめでたい印象で、しあわせな気分になりますね。
肉は焼肉とハンバーグのダブル、ワインソースは赤と白のダブルで、“ダブルづくし”の新作はシェアして食べ比べが楽しめる駅弁でもあります。
もちろん、現在開催されている「駅弁味の陣2018」にもエントリー中。
中央本線・小淵沢駅、甲府駅での販売はもちろん、来週火曜(10/30)まで、東京駅の「駅弁屋 祭」で実演販売も行われています。(予定)
この「甲州Wワイン弁当(しあわせ甲斐)」の売り上げの一部は、地元のNPO法人「フードバンク山梨」へ寄付され、子供たちの食を応援することになっています。
「丸政」によると、創業100周年を迎えて、より地域に貢献する駅弁屋さんでありたいという思いから、今回の取り組みとなったそう。
私たちが駅弁を食べられる「しあわせな気持ち」が、より多くの人に「しあわせな気持ち」をもたらす可能性を秘めた、“ダブルでしあわせ”な駅弁ともいえそうです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/