米沢駅「復刻版米沢牛肉すきやき弁当」(1,150円)~駅弁屋さんの厨房ですよ!(vol.14「松川弁当店」編③)

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】

E3系新幹線電車「つばさ」、奥羽本線・峠~板谷間

日本有数の豪雪地帯・板谷峠を下って来た、山形新幹線の「つばさ」号。
山形新幹線は平成4(1992)年、奥羽本線のレール幅を新幹線と同じ標準軌(1,435mm)に広げることで誕生した、日本で初めての“ミニ新幹線”です。
大雪の年は、福島~米沢間の除雪作業などで、列車が運休してしまうこともありますが、今シーズンは雪の量が少なめで、比較的安定した運行が行われています。

松川弁当店・林真人代表取締役

「つばさ」号の車内販売でもおなじみ、米沢の駅弁。
この板谷峠越え区間の開業と共に構内営業に携わって来たのが「松川弁当店」です。
伊東」「小淵沢」「水戸」「出水」「長岡」「米沢」「松阪」「横浜」「姫路」「修善寺」「富山」「仙台」「一ノ関」と巡って来た「駅弁屋さんの厨房ですよ!」の第14弾。
今回は、松川弁当店の林真人代表取締役にお話を伺っています。

●立ち売り&駅前食堂で賑わった昭和の「松川弁当店」

松川弁当店・駅前店にある立ち売りケース

―林社長は、駅弁の「立ち売り」もされていたんですか?

東京から戻ってスグに、母と一緒に米沢駅での立ち売りや車内販売をやりました。
当時は、米坂線から山形へ直通する急行「べにばな」号という列車がありました。
この列車は窓が開いたので、てんこ箱を持って行くと、お客様がよく買って下さいました。
「つばさ」号(注)では、乗車口のドアの所で、30秒ほどの停車時間を使って売りました。
(注)「つばさ」は、昭和36(1961)年~平成4(1992)年まで在来線の特急列車だった。


―駅前食堂をやっていた時代もあるそうですね?

大正時代から両親の代まで、米沢駅前で「まつかわ」という食堂をやっていました。
私が10歳ごろだったと記憶していますので、昭和50年代の初めごろまでですね。
当時は「山交バス」のターミナルや車庫もあって、国鉄の夜勤や泊まり勤務の方も多かった時代ですから、名物の「米沢ラーメン」をちょっと食べに来たり、泊まり明けで一杯やって帰るという方も多かったです。


●苦しかった東北新幹線開業から山形新幹線開業までの10年!

特急「つばさ」で活躍した485系電車、東北本線・福島駅(2014年撮影)

―昭和57(1982)年に東北新幹線が開業しましたが、この影響はあったんですか?

この「福島のりかえ」の時代が、とても大変でした。
東北新幹線ができたことで、それまで上野まで直通していた多くの特急「つばさ」号が、福島始発となりました。
お客様が大きな荷物を持って福島の駅構内を移動されることもあって、米沢では駅弁を買って下さる方が少なくなってしまったんです。


―車内販売ではいかがでしたか?

上りの「つばさ」号に美味しい弁当を作って乗り込んでも、本当に売れませんでしたね。
終着の福島で車内販売員も下車して、お客様と一緒に階段を昇って行きます。
すると、多くのお客様が売店に行列を作って、福島駅のお弁当を買われていました。
その様子を見ていて、本当に羨ましく思いました。
自然と「もっといいものを作らなくては!」という気持ちにさせられました。

復刻版米沢牛肉すきやき弁当

―「山形新幹線」ができると聞いたときは嬉しかったでしょう?

じつは山形新幹線開業直前がいちばんつらい時期でした。
車内販売では、1往復残っていた上野~秋田間直通の「つばさ」がいちばん売れていました。
でも、奥羽本線のレールの幅を変える改軌工事が2年ほど続いたんです。
特急「つばさ」が仙台発着となり、米沢駅は普通列車のみの運行となったり、バス代行になったりする日も多くて、1日の売り上げが1万円しかない日もありました。


―この昭和から平成にかけての時代、駅弁も鯉から牛肉へシフトして行ったそうですが、最初の牛肉駅弁は?

昭和30年代の後半に出したと聞いている「すきやき弁当」です。
現在も「復刻版米沢牛肉すきやき弁当」(1,150円)という駅弁で、昭和39(1964)年当時のデザインの掛け紙を復刻させています。
山形名物の「芋煮会」をするときでも、米沢の辺りでは豚肉を使うことはまずありません。
皆さん「やっぱり牛肉じゃないと!」というくらい牛肉文化が育まれて来ています。

(松川弁当店・林真人代表取締役インタビュー、つづく)

復刻版米沢牛肉すきやき弁当

【おしながき】
・白飯(山形県産はえぬき)
・米沢牛牛肉煮
・糸こんにゃく煮
・がんも煮
・にしん入り昆布巻
・酢れんこん
・紅生姜
・高菜醤油漬
・ふきみそ
・醤油漬

復刻版米沢牛肉すきやき弁当

林社長曰く、「米沢のすき焼きは、味噌がみそ!」。
割下などにも隠し味として、米沢の味噌をちょっと加えているのだそうです。
お陰で元々の米沢牛のうま味はもちろん、味わい深い“コクのある味”を楽しめます。
ちなみに米沢駅近くにある「松川弁当店・駅前店」に足を運ぶと、注文を受けてから、この駅弁を作ってくれますので、ぜひ1度お試しあれ!

次回は山形新幹線と共に大きく発展した米沢の牛肉駅弁にさらに注目していきます。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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