【ライター望月の駅弁膝栗毛】
東北本線・宝積寺駅から分かれて烏山を目指す「烏山線(からすやま・せん)」。
多くの列車は、そのまま東北本線に直通し、宇都宮発着で運行されています。
主力は、バッテリーで走ることができるEV-E301系電車「ACCUM」。
架線の無い線路にも関らず、ディーゼルエンジンの音ではなくモーターの音がする風景は、時代の変化を感じさせてくれるものです。
烏山線の多くの列車が乗り入れる宇都宮駅では、例年、寒い時期に合わせて定番駅弁の加熱式容器バージョンが販売されています。
「あつあつとりめし」(800円)もその1つで、ロングセラー「とりめし」の加熱式版。
宇都宮駅弁を手掛ける「松廼家」が製造・販売しており、今シーズンも3月31日までの販売予定となっています。
【おしながき】
・茶飯
・いっこく野州どりの照り焼きとそぼろ
・錦糸玉子
・筍煮
・漬物
・葉唐辛子
松廼家のとりめしは、照り焼きとそぼろに「いっこく野州どり」を使用。
「いっこく野州どり」は、いまの栃木県・群馬県に当たる下野(しもつけ)・上野(こうづけ)の“野州”エリアで生産されているブランド鶏です。
冷めても美味しいですが、加熱式ではより一層、鶏肉のうま味が引き出されます。
そぼろの味が甘めなので、葉唐辛子などでアクセントを付けると、美味しくいただけます。
烏山線は、今春のダイヤ改正から、日中は概ね2時間に1本の運行となりました。
一方、東北本線(宇都宮線)宇都宮~黒磯間の列車は40~50分おきの運行だったのが概ね30分に1本となり、黒磯~新白河間の列車はほぼ毎時1本の運行に…。
クルマ社会のなかで、使いやすさと効率性をどう両立させるか、模索が続くローカル列車。
地域の空気感が感じられるのもまた、普通列車の旅の醍醐味です。
「青春18きっぷ」のシーズン、せっかく乗り継ぎ旅にチャレンジするなら、居眠りするでも、音楽プレーヤーで耳栓をするでもなく、思いっきり目を見開いて、土地の訛りに耳を傾け、五感をフル動員して、全身で普通列車を満喫したいものです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/