布団のダニを増やさないためには1年半ごとに買い替える必要がある

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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、昆虫学者で農学博士の五箇公一が出演。ダニを増やさない方法について語った。

布団のダニを増やさないためには1年半ごとに買い替える必要がある
黒木)大学ではダニ学を習ったそうですが、ダニ学とはどういうことを学ぶのですか?

五箇)基本的にはダニの分類や生態、進化などを研究する分野です。

黒木)ダニはどこにでもいるのですよね?

五箇)どこにでもいます。この部屋でも普通に床にいます。

黒木)家にもいるのですよね?

五箇)はい。チリダニというダニがいます。

黒木)人間はダニと共に生活しているのですね。

五箇)そうですね。ダニ自体が増えすぎなければ問題ないです。

黒木)増えている、減っているということはどうすればわかるのですか?

五箇)基本的には、ホコリがたくさんある家ほど多いと思ったほうがいいです。

黒木)ホコリ?

五箇)ダニはホコリのなかにある有機物、ごみを食べて生きています。きちんと掃除して、お布団を干してよく換気している家ならあまり問題ないのですが、お仕事でお家を1日中閉じて外出されたりすると、家のなかの湿気と熱でダニが大量繁殖してしまいます。そういうダニの死体や糞を吸い込むと、アトピーになったりします。特にお子様は気をつけなくてはなりません。

黒木)よく「ダニ」と出ますよね、アレルギー反応で。

五箇)はい。昔の家と違って、いまはコンクリート住宅で気密性が良くなっているので、ダニにとっても住みやすい。ダニアレルギー系の患者さんが増えてしまっています。

黒木)掃除するしかないのですね。

五箇)そうです。お掃除とお布団ですね。乾燥して湿気を溜めないようにするということです。

黒木)つまり、お布団をお日様に干せばいいのですか?

五箇)定期的に干すのも有効です。日本の場合、日照時間が短くて、日照量も少ないので、布団乾燥機で布団を加熱すると良いです。ダニを殺してもダニの糞や脱皮殻などがアレルゲンになりますので、掃除機で吸うなり洗濯するなりして除去していただかなければなりません。

黒木)では、洗濯すれば安心ということですか?

五箇)安心です。布団は打ち直したり、買い替えるのがいちばんいいですね。

黒木)どれくらいの頻度で?

五箇)ベストは1年単位くらいで買い換えていただくと完璧だと思います。1年でダニが増えてしまいますから。

黒木)ダニは2つ刺されたらダニだと言いますが、本当ですか?

五箇)いや、あれは布団のなかに住んでいるチリダニという、人間の垢や食べ残しを食べているダニがいるのですが、そのダニが異常に発生すると、そのダニを食べに天敵のダニがやって来るのですね。これをツメダニと言います。チリダニが増えすぎると、このツメダニもどんどん増えて行き、間違えて人間の皮膚を噛んでしまうことがあります。なぜかプチプチと2回刺すのですね。その跡が2ヵ所残るということです。多分、1回刺して「あれ?」と思って、もう1回刺してしまうのでしょうね。エサではないと分かったら違うところに行きます。

黒木)エサかどうか、2回食べてみないと分からないのですね。

五箇)昔は牙があるから2本だと言われていましたが、あいつらはものすごく小さいのでそんなに大きな穴にはならないのですね。皮膚に見覚えのない噛み跡があるときはツメダニを疑っていただいて、なおかつツメダニがいるということは、チリダニもいると思わなくてはいけません。

黒木)やはり掃除と換気ですね。

布団のダニを増やさないためには1年半ごとに買い替える必要がある
五箇公一/国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター室長、ダニ学者、農学博士、保全生態学者

■1965年生まれ。富山県出身。
■京都大学卒業後、宇部興産に入社し、農薬の開発研究に従事。
■1996年に国立環境研究所に入所。外来生物や農薬による生態リスク研究を展開している。
■国立研究所の研究者であることとロックファッションのギャップが注目され、テレビ番組などのメディアにも出演。
■著書に『クワガタムシが語る生物多様性』、『終わりなき侵略者との闘い』。共著に『ダニの生物学』『外来種ハンドブック』『感染症の生態学』などがある。

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