【ライター望月の駅弁膝栗毛】
宇都宮駅は、明治18(1885)年7月16日に、日本で初めての駅弁が売られたとされる駅。
当時は蒸気機関車がけん引する汽車で、おにぎり2個・たくあん2切れをいただいたのでしょう。
130年以上経ったいまでは、鮮やかな“常盤グリーン”をまとった、東北・北海道新幹線のE5(H5)系新幹線電車「はやぶさ」号が、最高時速320㎞で一気に駆け抜けて行きます。
そんな宇都宮の駅弁にこの夏、時代の移り変わりを感じる、面白い駅弁が登場しました。
7月から、宇都宮駅で「1日3個」の限定販売が始まったのは、カレーの駅弁!
その名も、「いっこく野州どりの照焼チーズカレー」(1000円)と言います。
製造・販売を手掛けるのは、宇都宮駅弁の「松廼家」。
「松廼家」によると、今年(2019年)春に東京駅の「駅弁屋 祭」で先行販売が行われ、7月から満を持して、宇都宮駅弁のラインナップに加わりました。
【おしながき】
・白飯
・カレー チーズソースがけ
・いっこく野州どりの照り焼き
・目玉焼き風オムレツ
・ヤングコーンのバターソテー
・オクラのバターソテー
・焼きミニトマト
「いっこく野州どりの照焼チーズカレー」は、冷めても美味しい“駅弁”のカレー。
スパイシーな味わいはもちろん、チーズソースと玉子で、まろやかにいただくことができます。
もちろん、いっこく野州どりの照り焼きは、ジューシー感溢れ、肉のうま味がたっぷり!
バター味のヤングコーン・オクラ、焼きミニトマトと、夏らしい野菜もゴロンと載っています。
近年、カレー駅弁と言えば九州・有田でしたが、宇都宮の新作もバッチリ美味しくいただけます。
東北新幹線は、りんごの国・青森、さくらんぼの国・山形をはじめ、カレーの“隠し味”になりそうなフルーツ王国と首都圏を結ぶ路線でもあります。
懐かしい駅弁の味を守りながら、一方で新しい食材の可能性を追求してきたのが駅弁の歴史。
スパイシーなカレーに食欲をそそられるのはもちろん、明治26年創業の老舗駅弁屋さんが“攻め”の駅弁開発を続けている姿勢からも、“夏を乗り切る元気”をいただくことができるでしょう。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/