【ライター望月の駅弁膝栗毛】
仙台~石巻間を東北本線・仙石線経由で運行する「仙石東北ライン」の列車。
下り最終と上り始発は石巻線・女川まで直通、仙台~女川間を1時間半あまりで結びます。
このハイブリッド式のHB-E210系気動車がやって来る石巻や女川に加え、南三陸町では養殖銀鮭の「みやぎサーモン」が生産されています。
震災被害が大きかった地域の復興を支えている「ご当地ブランド」です。
一方、夕暮れの東北本線を上って行くのは、仙台空港アクセス線直通の普通列車。
空港がある名取市には、新鮮な魚介類に定評のある「閖上(ゆりあげ)漁港」もあります。
閖上も震災被害が大きかった地域ですが、平成29(2017)年からしらす漁を始めました。
「北限のしらす」と銘打って、閖上の新たなご当地ブランドに育ち始めています。
海水温が冷たいせいか、しらすに“ほのかな甘み”が感じられるのが特徴とか!?
(参考)名取市観光物産協会ホームページ
「みやぎサーモン」や「北限のしらす」という、東日本大震災からの復興を支えている新しいご当地ブランドを使った駅弁が、今年(2019年)の秋から登場しています。
その名も、「みやぎサーモンと北限のしらす幕の内弁当」(1100円)。
仙台を拠点に駅弁を手掛ける「こばやし」の製造で、仙台駅はもちろん、東京駅の「駅弁屋 祭」などでも販売があります。
【おしながき】
・白飯(宮城県産環境保全米ひとめぼれ) 梅干し 黒ごま
・みやぎサーモンの塩焼き
・閖上(ゆりあげ)の北限しらす
・縦割り蓮根の金平
・彩り金平
・厚焼玉子
・仙台長茄子漬
・赤かぶ漬け
「みやぎサーモン、デカっ!」
ここまで大きな銀鮭が使われた“鮭弁”、駅弁ではあまり見たことがないように思います。
しかも、水揚げの際に「活け締め、神経締め」と呼ばれる鮮度を保つための処理を施した、ご当地ブランドの「みやぎサーモン」だけに、脂がのって身離れもよく、白飯が進みます。
さらに「北限のしらす」が載って、金平と漬物に行くまでに完食してしまいそうな勢いです。
「こばやし」によると、宮城県のご当地ブランドを活かすべく、インパクトのある打ち出し方を追い求めて、大きめの切り身を焼き上げたということです。
新たなブランドも育ちつつあり、震災被害が大きかった地域も復興が進んできていますが、今年(2019年)は、宮城県内も台風19号の大きな被害を受けてしまいました。
鉄道でも、東北本線・槻木から分岐する第三セクター「阿武隈急行」は、宮城・福島県境で、運転見合わせが続いています。
ボランティア、観光、物品購入…自分ができる形で、東北へ心を寄せ続けたいものです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/