【ライター望月の駅弁膝栗毛】
海外の旅行客が多いこの時期、日光エリアは、根強い人気があります。
杉並木に沿って走るJR日光線(宇都宮~日光間)の普通列車は、地元の皆さんは勿論、ジャパンレールパスを利用している海外からの乗客が多いのが特徴。
日中は概ね2時間おきに運行されている観光タイプの車両「いろは」の車内からは、北関東訛りの言葉と、外国語が入り混じって聞こえてきます。
日光線をはじめ、東北本線(宇都宮線)・小金井以北の普通・快速列車は、通年で乗降時にドアを押しボタンで開閉するシステムとなっており、ドア横にボタンが設置されています。
地元の方は下車時も、後ろに下りる方がいなければ、車内の「閉」ボタンを押しながら出ることで、車内に冷たい風が吹き込まないよう、他の乗客に配慮している様子。
特に冬場は、冷たい空っ風が吹き付けるだけに、この配慮は本当にありがたいものです。
宇都宮駅弁の定番と言えば、ロングセラー・とりめしの系譜を継ぐ「いっこく野州どり弁当」。
例年、冬場には「とりめし」の加熱式駅弁が販売されてきましたが、今シーズンもネーミング、お値段そのままの「あつあつとりめし」(800円)として販売されています。
寒いホームでしばらく待つことを考えると、加熱式の温かい駅弁は有難い存在。
しかも、加熱式で3ケタの価格帯の駅弁って、じつはかなりレアなんですよね。
【おしながき】
・茶飯
・いっこく野州どりの照り焼き・そぼろ
・錦糸玉子
・筍煮
・漬物
紐を引き抜いて、すき間から蒸気が立ち上る様子を眺めながら、はやる心を抑え、駅弁が温まっていくのを待つのが、何とも言えないひととき。
数分後、ふたを開ける瞬間、湯気といい香りを顔に浴びるのが、たまらないんですよね。
冷めても美味しく作ってある駅弁は、温めるとより一層美味しくなるもの。
しかも、加熱式駅弁は飛行機がNGですので、鉄道旅だから楽しめる弁当でもあります。
例年なら、真っ白な雪をかぶっていてもおかしくないはずの日光連山。
寒中なのに、ここまで山肌が露になっているのは、珍しい風景なのかもしれません。
とはいえ、春は1度にはやって来ないもの。
風の冷たさを感じたら、ココは迷わず加熱式駅弁!
この冬も思いっきり紐を引き抜いて、シューッ! とやりませんか?
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/