【ライター望月の駅弁膝栗毛】
春のダイヤ改正から、東海道新幹線は1時間に最大12本の「のぞみ」が運行されます。
車両は、東海道新幹線でも最高時速285Kmで走行可能な「N700A」タイプの車両に統一。
これに伴って長年、主力車両として活躍してきた700系新幹線電車が、3月8日の運行をもって、東海道新幹線から引退することになりました。
定期運行はすでに終了しており、現在は、一部の臨時「のぞみ」で、その姿が見られます。
(参考)JR東海ニュースリリース、2019年12月13日分
700系新幹線電車は、平成11(1999)年、東海道新幹線の第4世代の車両として営業運転を開始、乗り心地の向上、さらなる経済性の向上が図られました。
その見た目から、“カモノハシ”の愛称でも親しまれましたよね。
以前と比べ大幅に揺れが少なくなり、車端部の座席には電源コンセント付きの編成もあって、私もパソコン仕事をしながら、東京~博多間の「のぞみ」などで、よくお世話になりました。
(参考)リニア・鉄道館公式ガイドブックほか
700系新幹線電車のハイライトは、何といっても平成15(2003)年10月。
東海道新幹線・品川駅開業に伴うダイヤ改正で、「のぞみ」が大増発されたときでしょう。
それまで毎時1~2本の運行で全車指定席だった「のぞみ」に自由席が付き、定期列車は毎時3本以上が運行されるようになりました。
先頭車両の側面に、大きく「AMBITIOUS JAPAN!」とロゴが入った時期もありました。
そんな時代を思い起こさせてくれたのは、この1枚のカード。
ロゴ入りの新幹線が走っていた時期は、まだ乗るだけで満足していて、「撮る」習慣はなく、あまり記録に残していなかったのが、悔やまれるところです。
じつはいま、「ありがとう700系」と銘打たれた、さまざまなグッズが登場しています。
このカードも、東海道新幹線・東京駅で購入した、ある駅弁に同封されていたものなんです。
その駅弁とは、「ジェイアール東海パッセンジャーズ」が、今年(2020年)1月9日から登場させた「ありがとう東海道新幹線700系記念弁当」(1000円)。
平成11(1999)年当時販売していた「700系新幹線弁当」の紙蓋のデザインを復刻した「東海道新幹線弁当」で、東京~新大阪間の「のぞみ」停車駅と車内販売で購入可能です。
約2ヵ月間限定、同封の記念カードは全6種類、週替わりで、残り2週は6種のカードのいずれかが同封されることになっています。
【おしながき】
・白飯
・深川めし あさり、あおさ
・穴子蒲焼き
・みそカツ
・エビフライソース漬け
・玉子焼き
・黒はんぺん
・煮物(タコ、大根、南瓜、里芋、人参、湯葉)
・ピーマン煮、パプリカ煮
・山葵入り昆布佃煮
・たくあん漬け
東京らしい深川めし風のあさりご飯に始まり、静岡の黒はんぺん、名古屋のみそカツとエビフライ、煮物は関西風のタコや里芋…と、東海道新幹線の車窓が目に浮かぶ駅弁です。
もともとは平成26(2014)年に販売された「東海道新幹線開業50周年記念弁当」をルーツとし、翌年4月からは、「東海道新幹線弁当」として親しまれてきた幕の内系の弁当。
穴子、カツ、大根などバランスもよく、高速で走る新幹線同様、箸がどんどん進みます。
20年あまりにわたって、東海道を駆け抜けてきた700系新幹線電車。
あと1ヵ月半ほどで、N700Aをはじめとした後継車両に道を譲ります。
さらに今年7月には、新型のN700S新幹線電車のデビューも予定されています。
令和2(2020)年は、東海道新幹線にとって、ひとつの時代の変わり目。
移りゆく時代、移りゆく車窓と共に、いまだけの駅弁を味わってみてはいかがでしょうか。
(参考)JR東海ニュースリリース・2019年1月25日分
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/