【ライター望月の駅弁膝栗毛】
普段の年は、多くの人で賑わう大型連休。
白新線・羽越本線を走る特急「いなほ」号も、いつもの大型連休には、新潟~酒田間で臨時列車が運行されていますが、残念ながら今年(2020年)の臨時列車は運休が決まっています。
また、上越新幹線「とき」「たにがわ」の臨時列車も運休。
都道府県境を越えた移動、生活圏以外への外出が自粛される、風薫る5月のスタートです。
せめてweb上では、美しい景色を楽しみたいですね。
この時期の新潟を彩るのが、チューリップの花。
「いなほ」号も停まる中条駅が、まちの玄関となる胎内市では、例年4月~5月にかけて「胎内市チューリップフェスティバル」が開催されています(今年は中止、畑への入場禁止)。
カラっと乾いた風を感じて色鮮やかな花畑を眺められる日々が、また来てほしいものです。
じつはチューリップは、新潟県の花なのだそう。
明治時代、いまの長岡市付近で栽培が試みられ、約100年前の大正8(1919)年、いまの新潟市秋葉区周辺で、日本で初めて商業用の球根栽培が始まったと云われています。
これを記念して、秋葉区内の「道の駅・花夢里にいつ」には、「日本チューリップ発祥の地記念碑」が建てられています。
(参考)新潟県ホームページ、新潟市秋葉区役所だより(2019年8月18日号)
そんな新津ゆかりのチューリップの花畑を思い浮かべていただきたい駅弁といえば、新津駅前で、明治時代から駅弁を作り続ける「神尾弁当部」の「新潟彩ちらし」(930円)。
発売から10年以上、平時は新潟駅でも見かける、すっかり定番のちらし寿し駅弁です。
東北(青森除く)、関東(島嶼部除く)、中部、近畿の各地方にお住まいの皆さんで、インターネットバンキング利用の方なら、家から1歩も出ることなく「通信販売」の利用が可能です。
(参考)日本レストランエンタプライズ(当時)ニュースリリース・2010年3月25日分
【おしながき】
・酢飯
・いくら醤油漬け
・数の子醤油漬け
・錦糸玉子
・煮物(舞茸、椎茸ほか)
・漬物(山せり、赤かぶ)
スリーブ式の包装を外すと、酢飯のいい香りと共に、いくらと数の子、舞茸と椎茸、錦糸玉子と赤かぶの漬物が彩りよく載せられたちらし寿しが現れました。
口のなかでプチプチはじけるいくらと数の子・2つの魚卵系の味わいと、新潟らしく舞茸の煮物のうま味が相まって、一気に明るい気分になれそう。
人との接触は宅配便の運転手さんだけで、我が家の食卓にもお花畑が広がります。
特急「いなほ」号は、日本海の夕日をイメージしたいつもの車両のほか、瑠璃色、ハマナス色にカラーリングされた車両が充当されることもある、彩りのある列車です。
きょう・5月1日で、令和の時代が始まってちょうど1年。
明治・大正・昭和・平成・令和と続いてきた新津の駅弁と新潟のチューリップ栽培の歴史に思いを馳せながら、我が家でいただく駅弁も、きっと楽しいひとときになるはずです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/