【ライター望月の駅弁膝栗毛】
名古屋・米原~金沢間を結ぶ特急列車「しらさぎ」号。
東海道新幹線が開業した昭和39(1964)年以来、関西と北陸を結んでいる「雷鳥・サンダーバード」と共に、特急街道の北陸本線を支えています。
現在は、東海地方の名古屋へ直通する列車を表すため、窓の下にオレンジのラインが加えられた681・683系電車が活躍しています。
(参考)JR西日本、日本車輛製造ホームページほか
「しらさぎ」の愛称は、加賀温泉郷の1つ・山中温泉の白鷺伝説に由来すると云われていますが、その玄関口・加賀温泉駅で長年販売されてきたのが、甘エビを使った駅弁。
疫病退散にはアマビエと言いますが、駅弁いただくならやっぱり「アマエビ」!
今年(2020年)で開業50年を迎える加賀温泉駅を拠点に駅弁を製造する「高野商店」の甘エビ駅弁の系譜を継ぐのが、「だし香る甘エビ寿し」(1200円)です。
高野商店の「通信販売」駅弁は、「冷凍」で届けられます。
冷凍庫で-15℃以下で保存すれば、半年間にわたって日持ちするのが嬉しいところ。
解凍は、「だし香る甘エビ寿し」も密封された袋のまま、流水で行っていきます。
こちらは「炙りのどぐろ…」より包装が少ないので、時間は15~20分程度で十分。
一緒に飲むお茶を沸かしたりしながら、久しぶりの甘エビ駅弁に期待が高まります!
【おしながき】
・酢飯
・甘えび
・昆布
ふんわり香るおぼろ昆布のだしの風味を感じながら、甘エビのプリッとした食感に続いて、うま味がトロ~っと広がり、何とも言えない満足感!
「だし香る甘エビ寿し」にも、少しずつ切れ目が入っているのが嬉しいですね。
価格の高騰などもあり、一時お休みしていた時期もあった加賀温泉の甘エビ駅弁ですが、改めて伝統の技がギュッと詰まった味が、通販でも味わえたことに感謝・感激です!
「高野商店」によると、工場は現在(5/12取材時)も休業中なのだそう。
ただ、通信販売は、今後も「石川県らしいもの」、「手間の少ないもの」、「旅情が味わえるもの」の三本柱を軸に、ラインナップを増やしていきたいとのこと。
5代目・高野宣也社長からも、「(この厳しい状況を)何とか乗り越えられるよう頑張りたい!」と力強い言葉をいただきました。
東京都区内から出られず、東京駅などへ外出することも厳しく抑制されるべき現状のなか、駅弁の通信販売にいち早く舵を切って下さったのは、都市部に暮らす人間には、本当にありがたく、100年以上続く駅弁屋さんならではのパワーを感じることができました。
事態収束までは年単位とも云われますが、今後も移動が自粛される間は「通信販売」、問題ない時期は「現地訪問」、この二刀流で駅弁文化を守りたいものです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/