【ライター望月の駅弁膝栗毛】
新宿から約2時間半、特急「あずさ」号が、終着・松本へ向けラストスパートに入ります。
平成29(2017)年12月のデビューから、間もなく丸3年を迎えるE353系電車。
曲線の多い中央本線を走行することから、最大1.5度車体を傾けることができる空気ばね式車体傾斜方式を採用、カーブでの高速走行と乗り心地の向上を実現しました。
普通車全席電源コンセント付、無料Wi-fiもあり、より快適な「あずさ」号となっています。
(参考)JR東日本長野支社ニュースリリース・2017年10月26日分
松本駅に降り立つと、「まつもと~まつもと~」と、少し懐かしい声の自動放送が健在。
国鉄末期からJR初期にかけては各地の主要駅で聴くことができた声ですが、いまでは松本と長野くらいということもあって、地元の観光情報にも取り上げられる“名物”に。
ちなみに、お城口に掲げられた駅名の表札は、昭和23(1948)年から52(1977)年まで使われた2代目駅舎のもので、改築にあたって市民の要望で残されたと言います。
(参考)松本市公式観光情報「新まつもと物語」ほか
懐かしい自動放送が流れ、東京・名古屋を結ぶ在来線特急が頻繁に発着する一方で、松本駅はローカル私鉄のアルピコ交通上高地線とも改札を共用。
この“国鉄の残り香”のようなのどかさは、松本駅の渋い魅力となっています。
その魅力に彩りを添えているのが、創業100年を迎えた「イイダヤ軒」の駅弁。
今回はカラフルな掛け紙が目を引く、「地鶏めし」(900円)をご紹介しましょう。
【おしながき】
・ご飯(安曇野産米)
・鶏肉の照り焼き
・鶏肉のそぼろ
・錦糸玉子
・リーフレタス(無農薬水耕栽培)、海藻、ドレッシング
・ガリ
多くが安曇野の清らかな水に育まれた米を使用しているという「イイダヤ軒」のご飯。
そのご飯の上に、鶏肉の照り焼きとそぼろ、錦糸玉子が載ったオーソドックスな鶏めし。
これに無農薬水耕栽培によって栽培されたリーフレタスと海藻のサラダがたっぷり入って、シャキッと爽やかさを演出、“信州ならではの”鶏めしに仕上がっています。
イイダヤ軒によると、野菜のおかずが多い分、女性の方の人気が高いそうです。
松本周辺をはじめ、信州のJRの普通列車は、山にも雪景色にも映える「新・信州色」の爽やかな帯を巻いた211系電車が基本。
国鉄末期から東海道本線(東京~浜松間)、東北・高崎線(上野~黒磯・前橋間など)で活躍してきた車両ですが、いまも中央東線経由で東京都の立川、中央西線経由で岐阜県の中津川まで足を伸ばす列車もあり、信州の爽やかな風を各地に届けています。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/