自己注射での治療もできる「アトピー性皮膚炎」
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東京医科大学皮膚科教授の大久保ゆかり氏が12月21日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。アトピー性皮膚炎の最新治療について解説した。
アトピー性皮膚炎の原因と治療法
飯田浩司アナウンサー)アトピー性皮膚炎についてお聞きします。痒みのある湿疹がよくなったり悪くなったりを繰り返して、「ずっと付き合わなければならない病気」というイメージがありますが、基本的な治療はどういう方法になりますか?
バリア機能障害
大久保)皮膚の表面は、皮膚がつくる物質で守られているのですが、その物質を上手くつくれないのがアトピー性皮膚炎の1つの要因です。皮膚のバリア機能が損なわれていることを「バリア機能障害」と言います。
飯田)バリア機能障害。
大久保)バリア機能障害に関しては、正しいスキンケアをすることが大事です。お風呂の入り方や、石鹸の使い方を正しくする。ゴシゴシ洗わず、熱いお風呂に入らないというようなスキンケアの生活指導が大切になります。
炎症を起こすような悪化因子の除去とスキンケアを続ける
大久保)それから、アレルギーの要素があります。アトピーの場合のアレルギーは、ハウスダストやダニなどが皮膚から入って来て炎症を起こします。ですので、炎症を起こす要因となるようなものを避けることが大切です。お掃除をなるべくこまめに行う。また掃除をするときには、手袋をする。しかもゴムだとかぶれやすいので、ビニール手袋や綿の手袋を使用して、長袖で行う。
飯田)侵入しないように。
大久保)マスクも大事です。いまは日常的にマスクをしますが。
飯田)ゴーグルをするのもいいですね。
大久保)そうですね。それもいいかも知れません。とにかく皮膚が表面に出ないようにする。そして、悪化因子の除去とスキンケアを続けて行くということです。
注射による治療
大久保)あとは薬の治療です。薬は塗り薬と飲み薬、それから光線による治療などが一般的にあります。新しい治療としては、注射のお薬が出ています。アレルギーを起こす「サイトカイン」という物質が細胞に働きにくくなるように、ブロックしてくれる抗体を注射することによって、炎症が起こりにくくするというものです。
飯田)その注射はどのくらいの頻度で打つのでしょうか?
大久保)通常であれば、だいたい2週間に1回です。しかし、人によっては半年~1年ほど治療を続けてよくなって来ると、間隔を空けることができます。その辺りは主治医の先生とよくお話をしてください。
飯田)主治医の先生に相談して。
大久保)この注射は自己注射ができるので、自分で打つ場合は看護師さんと練習してください。3ヵ月分は保険でも通ります。すぐにできるようになりますので、ご自分で打ちたいという方は、自己注射で治療することも可能です。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます