東京都医師会副会長で「平成立石病院」理事長の猪口正孝氏が12月30日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。今後の新型コロナに関わる東京都医師会の医療体制について解説した。
宿泊療養施設の拡大に伴い、看護師も2倍の人数が必要
飯田浩司アナウンサー)医療提供体制、宿泊療養施設の話も出て来ました。東京都の発表では、7900室に拡大したということです。これもお医者さんたちの対応が必要になるということですか?
猪口)結局はそうなのです。健康観察を行うのは看護師さんたちですから。現場のホテルが16施設~31施設なので、2倍の看護師さんたちが24時間体制で張り付かなくてはなりません。ドクターが必要なときは回りますが、遠隔で話を聞いて指示を出すということもしなければならない。ですから、倍の人数がかかるというわけです。
1ホテル1病院の1対1対応に ~すべての病院がコロナに関わる総動員体制
猪口)いままではいろいろな病院や看護師さんたちが集まって、寄合所帯のような形で診ていたのですが、感染者数が増えて来ると、それでコントロールすることは難しいのです。いま、東京都と東京都医師会、東京都病院協会で協力して、「1ホテル1病院」というように、「1対1対応」で診て行くという形にしているところです。
飯田)1対1対応で。
猪口)コロナを受け入れている病院は負荷がかかるので、現在、コロナを診ていない病院にお願いできないかという交渉をしています。もともとコロナを診ていない病院は、急性期ではなく慢性期や、精神科などの病院ですが、そのようなコロナを診ていない病院が診てくれることによって、すべての病院がコロナに関わるという総動員体制になります。
宿泊療養や自宅療養の患者を地区医師会が診続ける
飯田)第5波のときは、自宅療養の方をどのように診るのかということで、保健所との連携が問題になりましたが、その辺りはいかがですか?
猪口)最初は軽症であったとしても、4~5日の間で一気に重症化するということが、オミクロン株の場合でもあると思いますので、健康観察は大事なのです。
飯田)オミクロン株でも。
猪口)地元の地区医師会の先生たちに頑張って診てもらい、地区医師会で急変事態に対応できない場合は、それをバックアップする病院がついて、二重三重の体制を整えるということにしています。
飯田)二重三重の体制を。
猪口)初期段階だと、いままでは保健所がすべてやっていました。我々のような診療・検査医療機関で診断して保健所に登録し、保健所が対応することになります。いまも法律上はそうなのですが、今後は診療・検査医療機関が最初から最後まで患者さんを診続ける。保健所が十分に診られるようになるまでは、診て行く。保健所が診られるようになっても、一緒に見て行く。そのようなことを地区医師会にやってもらおうということです。そうすることによって、宿泊療養の患者さんたちであっても、目が届かないという事態が起きないような体制を取っています。
東京の医療人は新型コロナに関わらない人はいなくなる
猪口)東京の医療人は、コロナに関わらない人間がいなくなるくらいの状況になると思います。「通常医療を守り続けるのだ」と言っているような医療人たちも、コロナ対応に回されるというような状態に近いと思います。
飯田)それぞれの役割があるということですね。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます