東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が1月7日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。団塊の世代が後期高齢者になる「2025年問題」以降の医療のあり方について解説した。
今後の医療のあり方
飯田浩司アナウンサー)あと3年で2025年になります。2025年問題というのは前々から言われているところで、団塊の世代の方々が後期高齢者(75歳以上)になる。その先には、次のボリュームゾーンの団塊ジュニア世代が65歳以上になる2040年問題が控えています。いま、まさに医療現場は過渡期であり、「ここで変えなければならない」という時期を迎えているのですね。
尾﨑)2025年は入り口です。それが15年、20年と続いて行くわけです。その間の社会保障や医療制度、保険制度も根本的に見直さなくてはならない時期に入っているのではないかと思います。
TMA近未来医療会議
尾﨑)東京の医療は、都市型の医療としての特性があります。1つは土地代や人件費が全国で最も高い。医療機関や病院、診療所もその部分に費用がかかります。全国一律の診療報酬のなかでは、東京がいちばん苦心しているところです。
飯田)そうですね。
尾﨑)そういう状況のなかで、近未来に向けて、医療をどのように考えて行けばいいのかということで、有識者の方や病院、診療所の代表の方などに集まっていただき、東京都医師会に東京メディカルアソシエーション(TMA)、「TMA近未来医療会議」というものをつくりました。
飯田)TMA近未来医療会議。
尾﨑)東京の医療を守るためには、どのような医療体制や保険制度などが必要か。そういうことを1年かけて議論して行こうというものです。
既存の法律や概念を全部取り払って議論するべき
飯田)いまおっしゃった東京の特性というもので考えても、既存の医療制度という枠から外れた問題もあります。例えば、2人のご夫婦で住んでいる家に対して、プライバシーを保ちながら、一定の医療介入をしなければならないというときに、そこをどうするのか。行政側は「民事不介入」と言うけれど、いまのままではできない部分もあります。既存の法律や概念なども全部取り払って議論しなければいけないかも知れないですね。
尾﨑)そうですね。まず、「こういうものが必要なのだ」という土台づくりをする必要があります。医療が既存の法律や概念などで歪められてしまうところもあるので、そういうことを発信して行きたいという気持ちでつくりました。
飯田)どう人生を閉じて行くかというところまで含めて、どのような生き方であれば満足できるのか、「そのために医療はどうするべきか」ということにもなりますか?
尾﨑)どんな治療でも、とことんやって生きたいと言う人もいますし、一方で、もう十分生きたから、負担がかかるような治療は受けたくないという人もいます。人それぞれなのですが、個別の事情も含めて、我々が何を提供できるかということも大事だと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます