現在の日本では、子どもの心の問題は減少しない ~何が必要か

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東京都医師会・学校精神保健検討委員会委員長で「子どもと家族のメンタルクリニックやまねこ」院長の田中哲氏が2月23日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。地域で子どもを育てるということについて解説した。

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

減少しない子どもの心の問題

飯田浩司アナウンサー)子どもの問題と言うと、発達障害やいじめ、不登校、非行、引きこもり、虐待などさまざまあると思いますが、これらの現状はどうなっていますか?

田中)現場で仕事をしていると、「子どもの心の問題は減らないな」という実感が強いです。発達障害は増えていますし、不登校も増えています。いじめも減らず、非行も虐待も減らない。いくら頑張っても減らないのです。

子どもを上手に育てるための循環がうまく行かない

田中)子どもが家庭で大事に育てられ、バランスよく育って行って、仲間のなかに入り、仲間が新しい子どもを受け入れることで、より楽しくなり、社会に出て行く。そして、さまざまなことを勉強して、その社会に受け入れられ、自立して家庭を持ち、子どもを大事に育てるという循環があります。しかし、いまはその循環がすべてうまく行かなくなっているような気がするのです。

飯田)その循環がうまく行かない。

田中)逆回りと言うか、悪循環になっていて、家庭で子どもに向かうことができず、子どものなかのアンバランスを解消できないので、発達障害などバランスを崩した子どもが多くなり、なかなか子どもたちの仲間に入って行けない。子どもたちも、そのような子どもが来ると、自分たちもダメになってしまう気がするので、排斥したり、いじめなどが起きてしまう。そうすると、子どもの心が傷ついて、非行問題、あるいは依存問題が出てしまう。そんな問題を抱えながら家庭をつくるから、上手に子どもを育てられなくて、虐待になってしまう。そんな循環があるような気がします。うまく行かない循環が。全部つながっている問題なのではないかという気がします。問題が減らない理由もわかるし、問題同士がいろいろなところでつながっているという実態が、何となく見えて来ます。

新行市佳アナウンサー、田中哲氏、飯田浩司アナウンサー

子どもを地域で育てるという環境が現在の日本にはない

飯田)スパイラルの状態になっている。どれか1つだけを取り上げて、それを変えればいいという話ではないということですか?

田中)そうなのです。世の中の人々が、上手に子どもに関われなくなっているような気がします。いい循環を助けてあげられなくなってしまっていることが、問題なのではないかなと思います。

飯田)昔のように、地域で育てるようなことがない。

田中)よその子を叱ることができないでしょう。

飯田)そうですね。だから、自分の子どもを叱ることで「周りにも」と、強く出てしまったりする。

田中)よその子がいいことをやっていたら褒めてあげるということもできないし、知らない子ども同士が遊んでいるのを、大事に見守ってあげるということもしなくなっている。

子どもを育てるには村がまるごと1つ必要

飯田)全員が当事者であると考えるべきですか?

田中)無関係な人はいないと思うのです。アフリカのことわざで、「子ども1人を育てるには村がまるごと1つは必要だ」という言葉があります。本当はそういう状況なのだけれど、「私は知らない」と言っている村人が多くなってしまっているということです。

飯田)子どもだけが、まるで孤立するようになってしまう。

田中)ええ。

飯田)どういうところからアプローチして行けばいいですか?

田中)「子どもを育てるのは、みんなの仕事だ」ということを、もう1回確認し合うことが大切だと思います。そのためにどうすればいいのかを考えなければいけません。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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