神奈川県が「糖尿病死亡率」が最も低い「必然的な理由」
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東京都医師会監事で「さいとう医院」院長の斎藤寛和氏が3月1日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。糖尿病について解説した。
糖尿病死亡率ワースト1位は青森県
飯田浩司アナウンサー)厚生労働省が糖尿病に関して、人口10万人に対する死亡率を出しています。都道府県による特徴はあるのですか?
斎藤)青森の方には大変申し訳ないのですが、ワースト1位は青森県です。一方、ベスト1位、最も死亡率が低いのは神奈川県になっています。糖尿病の死亡率の全国平均は、10万人あたり11.4人。青森は倍近い20.2人です。糖尿病死亡率が最も低い神奈川県は7.8人。青森県の半分以下です。
飯田)青森がワーストになってしまった要因はあるのですか?
斎藤)青森県は糖尿病によって引き起こされることの多い、脳卒中、心筋梗塞などの動脈硬化性疾患による死亡が多いとされています。理由としては、北国特有なのでしょうが、食塩摂取量が多い。それから多量飲酒者が多い。また、喫煙率が高いということが原因としてあげられています。また、雪国ゆえの運動不足からの肥満、健康診断の受診率の低さなども影響があるようです。
飯田)確かにおいしいものは多いし、おいしいお酒も多いし、しょっぱいものが多いですよね。
斎藤)寒いと塩気が欲しくなってしまうのでしょうかね。
飯田)糖尿病そのものよりも、いろいろな合併症が起きて亡くなるという話を聞きました。私の祖父は目が見えなくなったということがあったのですが、脳卒中や心筋梗塞以外にも、そのような作用が起きるものですか?
斎藤)起きますね。糖尿病が進行すると、糖尿病網膜症を発症する場合があります。血管病変が主体ですけれども、血管が破れたり、新しい血管ができて網膜が剥離し、失明に至ることもあります。
飯田)そういった症状も含め、予防して行かなければならないのですね。
斎藤)そうなりますね。
「かながわ糖尿病未病改善プログラム」によって糖尿病のリスク保有者を把握し、受診勧奨・保健指導を行う神奈川県
飯田)糖尿病死亡率が最も低い神奈川では、その辺りの対策が先行したということですか?
斎藤)神奈川県では、「かながわ糖尿病未病改善プログラム」を2019年に策定しています。市町村などの保険者や医療機関が連携して、糖尿病の重症化のリスク保有者を把握し、必要に応じた受診勧奨・保健指導を行うことで、糖尿病の重症化を防止するという試みをしています。
飯田)かながわ糖尿病未病改善プログラム。
斎藤)さらに腎機能悪化に留意して、糖尿病性腎症への移行や人工透析への移行を防止することも掲げています。人工透析はお金がかかりますので、医療経済的にも、腎機能を低下させないような治療・指導をすることが大事です。
飯田)起きてから対処するよりも「未病」の部分、予備軍を適切に把握して指導して行くということですね。
斎藤)進んで検査や指導を受けて、糖尿病を未病のうちに予防することが大事です。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます