「運動前に入念にストレッチ」は昔の話 ケガにつながる可能性も
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医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が6月6日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。体をリセットする方法について解説した。
免疫力を高める運動
飯田浩司アナウンサー)新型コロナの自粛期間は明けたものの、調子が戻らない方も多いと思います。そこで今回は、体をリセットする方法について、クイズを交えながら森田先生に伺います。
森田)まずは正しい運動法のコツについてお話ししたいと思います。基本的なことですが、運動すると免疫力、いわゆる抵抗力は高まるのでしょうか? それとも衰えるのでしょうか?
新行市佳アナウンサー)高まるのではないですかね。
森田)では、どんな運動をしたらいいでしょう。激しくすればするほどいいのか? それとも軽めの運動がいいのか?
新行)有酸素運動でしょうか。
森田)無酸素運動はダメでしょうか?
新行)無酸素運動と有酸素運動を交互にですかね。
飯田)疲れないくらいの運動がいいのではないでしょうか。
森田)性格が出ていますね。
飯田)そうですね(笑)。
軽めの運動をすることで免疫力が高まる
森田)答えは、「激しい運動よりも、軽めの運動をすることで免疫力が高まる」という研究結果があります。
新行)軽めの運動。
森田)軽めの運動を続けることで、4ヵ月後、12ヵ月後に血液中の「IgA」という成分が高まることがわかっています。IgAは病原体をやっつけてくれるのです。
激しい運動を続けると、数日間は免疫力が衰える状態になる
森田)逆にマラソンや過度な筋トレなどの激しい運動を続けた場合、数日間は免疫力が衰えることが報告されていて、「オープンウィンドウ説」とも呼ばれています。窓が開いた状態ですから、激しい運動をしたあとに病原体が免疫を突破しやすい時期があるということです。
飯田)へえ!
森田)トップアスリートが大会直後に風邪を引くことがありますが、これもおそらく免疫力が一時的に悪くなっているのだと思います。
飯田)なるほど。
森田)ただし、あくまでも免疫という観点から見たもので、筋力を強くしたり持久力を高めるには、激しい運動が必要となります。
ストレッチは運動後だけに行う
森田)お二方は、ストレッチはされますか?
新行)たまに寝る前にしていますね。
森田)ストレッチに関しても興味深い結果が出ているのですが、運動とストレッチに関して正しいと報告されているのは、次の3つのうちどれでしょうか?
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(1)運動する前と運動したあとにしっかりストレッチをするのがよい。
(2)運動する前だけにストレッチをするのがよい。
(3)運動後だけにストレッチをするのがよい。
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新行)私は1つ目だと思います。
飯田)運動後までやったら疲れてしまうので、運動前だけでいいと思いますよ。
森田)正解は、「(3)運動後だけにストレッチをするのがよい」なのです。
新行)そうなのですか!
飯田)でも運動する前は、準備運動をよくやるではないですか。
運動前のストレッチはケガを起こしやすくすることも
森田)運動後のストレッチは効果的に筋肉疲労を回復させ、筋肉痛を予防することができます。では、運動する前はどうなのか。スポーツ科学誌に掲載された研究結果では、運動前に45秒以上のストレッチをした場合、筋力、跳躍力、瞬発力が3~5%低下し、ケガを起こしやすくする可能性も高まるのではないかとされています。
飯田)ケガをしやすくなるのですか。
森田)だから運動前には、じっくりとストレッチをするのではなく、運動のなかで実際に出てくるような動きをする。ジョギングであれば、その場で軽くジョギングする方が好ましいのではないかとされています。
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医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます