阪神・淡路大震災の体験から広域災害・救急医療情報システム(EMIS)が整備 日本の災害時医療の現状

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「平成立石病院」副院長で救急科医師の大桃丈知氏が9月27日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。災害時の救急医療の現状について語った。

阪神・淡路大震災の体験から広域災害・救急医療情報システム(EMIS)が整備 日本の災害時医療の現状

阪神大震災 夜まで燃え続ける神戸市長田区市街=1995年1月17日 写真提供:産経新聞社

災害時派遣チーム「DMAT」「AMAT」

新行市佳アナウンサー)大桃先生はいろいろな災害現場で救急医療を行っていらっしゃいます。2019年は関東地方でも台風15号、19号と立て続けに大きな被害がもたらされましたが、当時はどのような活動をされたのですか?

大桃)このときの台風は「風台風」、「雨台風」と表現されました。台風15号の被害のときには、「DMAT(災害派遣医療チーム)」あるいは「AMAT(全日本病院医療支援班)」という肩書きの災害派遣チームの一員として、主に千葉県で活動しました。

新行)どのような活動をされたのでしょうか?

大桃)DMATは都道府県から派遣要請を受けて出動するのですが、最初に行うのは指揮命令系統を確立することです。

新行)指揮命令系統の確立。

大桃)いろいろな災害拠点病院に「本部」と呼ばれるような機能を持つところをつくり、その機能を強化するために全力を尽くします。その地域のなかで被災している医療機関、最終的には避難所にまで支援の手を広げていきます。

阪神・淡路大震災の体験から広域災害・救急医療情報システム(EMIS)が整備 日本の災害時医療の現状

大桃丈知氏、新行市佳アナウンサー

災害時の各病院のニーズと供給のバランスを取るために広域災害・救急医療情報システム(EMIS)が整備

大桃)阪神・淡路大震災のときには、被災地のなかでそれぞれの病院が全力を尽くしたわけですけれど、医療資源があったにも関わらず、そこに傷病者の方が行けない、集まらないという病院がありました。

新行)医療資源があるのに。

大桃)逆に医療資源が少なかったのだけれども、多くの方が押し寄せてしまった、というようなことが起こったのです。ニーズと供給側のパワーがアンバランスになってしまったのです。

新行)なるほど。

大桃)それを是正するために、現在は広域災害・救急医療情報システム(EMIS)という災害医療の情報システムが整備されています。それを見ることによって、どの病院にどういう負荷がかかっていて、どの病院が停電しているか、また燃料がない、水がないというような情報が収集できるようになっているのです。

新行)EMISによって。

大桃)我々DMATにとっても有効な情報収集ツールとして機能していますし、いろいろな災害の知見を踏まえて機能を追加し、より使いやすいものになってきています。それらを駆使して情報収集し、DMATの隊員を適材適所に振り分けていくというようなことを、本部の活動として行います。

災害拠点病院では、常に隊員を派遣できるような体制を整えている

新行)災害が突発的に起こり、すぐ行動しなければならない、周りの状況を全部把握しなければならなくなったとき、瞬時にできるものなのですか?

大桃)非常によい質問だと思います。DMATは立川の災害医療センターに事務局があるのですが、そこは24時間365日、常時監視をしています。東京の場合はそれぞれの区や市に災害拠点病院が85ヵ所弱ありますが、災害拠点病院では常に隊員を派遣できるような体制を整えていますし、そのための訓練も行っていますので、即応は可能かと思います。

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