生魚を食べて数時間後に腹痛に襲われたら「アニサキス」を疑え すぐに胃腸科へ

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医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が10月6日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。アニサキスによる食中毒の予防法について解説した。

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

アニサキスの予防法 ~加熱や冷凍

新行市佳アナウンサー)今回はアニサキスによる食中毒の予防法を教えてください。

森田)アニサキスの予防策として大事なのは加熱です。60度で1分、70度以上で数秒が有効なのですけれど、これではお刺身やお寿司は食べられないですよね。

新行)そうですね。

森田)続いて有効なのは冷凍することです。マイナス20度で24時間以上冷凍すると、アニサキスは死んでしまいます。ただ、新鮮な魚を食べたい場合は冷凍するわけにはいきません。

目視して取り除く、またはアニサキスが分解されるまで、「アジのたたき」のように細かくたたく

森田)調理のときに目視でアニサキスを取り除いていく方法であれば、加熱や冷凍の必要はありません。

新行)でも、アニサキスは大きさにすると2~3センチくらいですよね。それを調理する人がよく見て、「アニサキスの幼虫だ」と全部見つけていくことは、大変ではないですか?

森田)肉厚な魚だと無理があります。以前、「よく噛んで食べたら大丈夫なのではないか」と言われていました。私もそれを実践していたことがあります。

新行)よく噛んで食べる。

森田)実際にアニサキスを噛んだ人の報告を調べましたが、輪ゴムのように硬くて噛み切れなかったという報告が多いのです。

新行)よく噛んでも意味がないのですか?

森田)多少はアニサキスにダメージを与えるのですが、死なないということがわかっています。なかなか噛むだけでは予防にはつながりません。

新行)例えば、アジのたたきはどうですか?

森田)完全に2センチ以下にたたけば、アニサキスは分解されて死滅します。アジのたたきは医学的見地に基づいた安全な調理法だと思います。

森田豊氏、新行市佳アナウンサー

パルスパワーで感電死させる

新行)ここまで加熱、冷凍、目で見て確かめることが大切だというのはわかったのですけれども、他にいい方法はありますか?

森田)開発されているものがあります。まずはアニサキスを電気で感電死させる方法です。熊本大学らが、「パルスパワー」という電気エネルギーを開発しつつあるのです。

新行)パルスパワー。

森田)1万5000ボルトの電圧を、100万分の1秒というほんの一瞬、魚に寄生するアニサキスに打ち込むのです。このパルス処理を数百回繰り返すことで、魚のなかに入りこんでいるものも含めて、アニサキスを感電死させることができるそうです。

新行)パルスパワーで電気処理した魚は、美味しくいただくことはできるのでしょうか?

森田)この研究では、「新鮮な味を保ちながら食べることができる」と報告されています。まだ研究段階ですけれど。

紫外線LEDをあてて取り除く

森田)紫外線をあてて、光るアニサキスを取り除く方法もあります。この方法は既にいろいろなところで導入されています。

新行)そうなのですか。

森田)生で食べるサバやアジをスーパーなどに卸しているある企業では、魚を3枚におろしたあと、まずエアシャワーや流水でアニサキスを取り除きます。さらに魚の身に紫外線LEDをあてて、紫外線で光るアニサキスの特性を活かし、表面付近にいるアニサキスを取り除くのです。ただ、この方法でも魚の身のなかに潜りこんだアニサキスを取り除くのは、なかなか難しい。

新行)深くまで潜りこまれてしまうと難しい。

森田)そうですね。

生の魚を食べて数時間後に急に腹痛に襲われたら、我慢しないで胃腸科へ行く

新行)その他、アニサキスによる食中毒についての注意点などありましたらお願いします。

森田)新鮮な生魚を食べる我々にとって、アニサキス予防には限界があると思います。現時点では、生の魚介類を食べて数時間後に急に腹痛に襲われたら、我慢しないで胃腸科に行き、胃カメラ検査を受けることが大事です。そのときに「何を食べたか」、「何時ごろ食べたか」という情報を医者に言うことが大切です。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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