東京都医師会理事で「目々澤医院」院長の目々澤肇氏が10月12日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。スウェーデンの医療体制について語った。
無料で医療が受けられるスウェーデン
飯田浩司アナウンサー)今回はスウェーデンの医療体制について伺います。スウェーデンでは医療へのアクセスについては、どうなっているのでしょうか?
目々澤)日本のマイナンバーにあたるナショナルIDがあります。以前は「国民番号」と呼ばれていましたが、ナショナルIDがあれば、誰でも無料で医療を受けることが可能です。20年前に私の妻が骨折したときも、無料で医療を受けることができました。
飯田)外国人でも無料で受けられるのですか?
目々澤)ただ、熱が出たからすぐに医療機関を受診できるという体制ではありません。重症になってしまったときは、病院にあるアキュートと言われる救急外来を受診することも可能なのですけれど、受診するにはまず電話をかける必要があります。
飯田)まず電話をかける。
目々澤)電話をかけると患者さんの症状を聞いて指示してくれます。重い症状であれば、「すぐにアキュートで受診を」という話がそこから動きます。複雑な症状であれば、専門医の方に電話が回されることもあります。
飯田)専門医に。
目々澤)話を聞いてくれるトリアージナースさんは、風邪などの問い合わせの場合には「薬局でこんな薬を手に入れて飲んだらどうか」というような指示をしてくれるわけです。しかし、指示されなくてもこの国の方は、まず薬局へ行って、薬剤師さんに相談して薬を買うことが常識になっているのです。
男性であれば家を一軒建てられるように教育される
飯田)スウェーデンの国民の皆さんは、ある程度自己診断して「これだったらこうだな」と検討がつくようになっているのですか?
目々澤)そういうことが教育の一環として行われているのではないかと思います。スウェーデンの基礎教育では、男性であれば家を一軒建てられるように教えられるのです。
飯田)それが最終的な目標なのですね。
目々澤)そうですね。1人ひとりが自立して生活できるように教育されます。
スウェーデンの福祉を支える税金
飯田)誰でも無料で医療が受けられる体制だと、保険料や税金が高いのではないかと思うのですが。
目々澤)日本の健康保険料や厚生年金などのように分けるのではなく、所得に関わる税と物品購入に関わる税の2つがあり、中の上くらいの収入があれば、だいたい50%を超える所得税が掛かってきます。
飯田)50%を超える。
目々澤)それから3段階の累進課税となるわけです。日本の消費税にあたる付加価値税は25%で、日本の2.5倍になります。
飯田)日本の2.5倍。
目々澤)これが食料品になると安くなり、医療ではゼロになる。必要性に応じて分けられています。それが高福祉を運用する糧になっているのです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます