「殴られたような激しい痛み」が出たら「くも膜下出血」を疑う
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東京都医師会理事で「水野医院」院長の水野重樹氏が11月9日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。脳出血について解説した。
脳出血には、「くも膜下出血」と「脳内出血」がある
新行市佳アナウンサー)今回は脳出血について伺います。
水野)脳出血は、「くも膜下出血」と「脳内出血」の2つに分けていいかと思います。くも膜下出血という言葉は皆さんご存知かと思いますが、「くも膜」という膜があります。
「くも膜下出血」 ~脳動脈瘤が破裂してくも膜の下に出血
水野)その下に出血するから、「くも膜下出血」なのです。では「くも膜って何だ?」ということですが、「髄膜」という膜のなかの1つです。脳を包んでいる膜を髄膜と言います。ここが炎症を起こす「髄膜炎」という病気もありますね。
新行)髄膜炎。
水野)髄膜のいちばん外側の膜は硬いので「硬膜」と言います。その内側に「くも膜」があります。さらに「軟膜」という膜があって、脳があります。
新行)軟膜があって、脳がある。
水野)脳の表面に少し太めの動脈が張り付いているのですが、くも膜下出血のほとんどは脳動脈瘤という瘤があり、それが破裂することでくも膜の下に出血します。その場合は、「脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血」という状態になります。
高血圧が原因となる脳内出血 ~くも膜下出血にならないためにも「脳ドック」で検査を
水野)脳内出血に関しては、ほとんどが高血圧による出血です。老年になるとアミロイドという物質による脳出血も起こりますが、やはり多くは高血圧が原因となりますので、「血圧のコントロール」が脳内出血の予防になるということです。
新行)脳内出血は高血圧が原因ということですが、くも膜下出血の場合は何がきっかけになるのですか?
水野)脳の血管の瘤である「脳動脈瘤」が破裂することがほとんどです。年間で大体、1000人に1~2人の割合で発生します。
新行)脳動脈瘤の破裂。
水野)脳動脈瘤の破裂を抑えることができれば、くも膜下出血にならないだろうという考え方がもちろん出てきますので、これについては「脳ドック」をお勧めします。
「殴られたような激しい痛み」がくも膜下出血のサイン
新行)脳内出血やくも膜下出血には、どんな自覚症状があるのですか?
水野)まず出血すると「髄膜刺激症状」が出て、すごく頭が痛くなります。意識をなくす場合もあります。
新行)そんなに痛いのですか?
水野)「殴られたような激しい痛み」がくも膜下出血の1つのサインです。でも、まったく症状のない方や「瞼が落ちた」という方もいらっしゃいます。いろいろな症状がありますが、基本的には頭痛だと考えていただけばいいと思います。
新行)激しい頭痛。
水野)脳内出血の場合は、出血した部位によって手足の動きが悪いなど、いろいろな症状が出ることがありますので、何か症状が出て「おかしい」と思ったら病院に行ってもらうのがいちばんですね。
新行)日ごろの「ちょっと頭が痛いな」というレベルではないのですよね?
水野)「いつもと違う頭痛だ」と感じて来られる方もいますが、話をよく聞くと、背景に「ここのところ忙しかった」とか「肩が凝っていた」など、いろいろな症状があるようです。「これは怪しいぞ」と思った際には、必ず検査させていただきます。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます