長岡駅「越路弁当」(890円)~駅弁屋さんの厨房ですよ!(vol.5「池田屋」編④)

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信越本線

115系電車(湘南色)、信越本線・青海川~鯨波間

昭和50年代から、新潟地区で活躍してきた国鉄形の115系電車。
E129系電車への置き換えが進む中で、一部の編成は登場した時と同じオレンジと緑の「湘南色」にリバイバル塗装が施されて活躍が続きます。
果たして来年の夏は、『鯨波の海水浴客+115系』という風景が見られるのか???
天気に恵まれたこの日は、鯨波周辺でも115系電車に多くのカメラが向けられていました。

信越本線

新潟の田んぼ(信越本線車窓)

信越本線(直江津~長岡間)は、2つの車窓が楽しめます。
直江津~柏崎間は「海」、柏崎~長岡間は「田んぼ」です。
夏の日本海らしい「青い海」、すくすくと育つ「青い田んぼ」、それに「青い空」という3つの“青”が、コラボレーションして、これぞ“新潟の夏”という風景を満喫することが出来ます。


●「米が命」の池田屋の駅弁!

 

永橋ひかる

池田屋・永橋ひかる専務

そんな米どころにある新潟・長岡の駅弁屋さん、今年で創業130周年の「株式会社池田屋」にお邪魔してお届けしている、シリーズ「駅弁屋さんの厨房ですよ!」の第5弾。
「池田屋」の5代目・永橋ひかる専務にお話を伺っています。

―アパレル仕込みの駅弁の陳列は、私も上手いなぁと思っていたんですが、駅弁を作る上での「池田屋のこだわり」は何ですか?

やっぱり「お米」は、絶対に美味しいものを仕入れるようにしています。
新潟にいらしたお客さんに「名産は何ですか?」と訊かれたら、「お米」ってなりますから。
長岡(の中心部)は、海には近くないですし、名産の牛がいるわけでもありません。
となると、「お米が美味しい」ということを突き詰めざるを得ないかなと。

―美味しいお米を提供するための工夫には、どんなモノがありますか?

『といだお米を一晩冷却してから炊く』工夫をしています。
そうすることで、うま味が増すんですよ。
今の厳しい検査を通しても、値は問題なかったので、昔からのこの方法で炊いています。
ただ、お米の炊き方は「100人いたら100通り」ありますからね。
各社さんそれぞれの工夫があると思います。

(☆4代目・晃社長)
地元のお客さんは、普段から「美味しいお米」を食べているので、不味い米がよく分かるんです。
仮に普段から不味いお米を食べているお客さんがいるとしても、美味しければ、スグに分かりますから、どっちにしても「米が命」なんです。


●週1で食べても飽きない駅弁!

 

越路弁当

越路弁当

―日本有数の「米にうるさい人がたくさん暮らす」地域で駅弁を作っていて、その地元の皆さんに愛されているということは、それだけで価値がありますよね?

「越路弁当」という幕の内弁当がありますが、実はアレを週1で買われるお客様がいます。
お米がメインなので、週1で食べても飽きない味ということなんだと思います。
ウチで一番売れているのが、「越後長岡喜作瓣當」なんですが、あれもやっぱり幕の内。
(長岡の駅弁は)お米が主役ということなんですよね。

越路弁当

越路弁当

(☆4代目・晃社長)
幕の内(越路弁当)は、いたって「普通」の物を作るようにしています。
昆布巻き、焼売、ひじきの煮物・・・。
それぞれ「こういう味だろうな」と思って食べていらっしゃる。
見た瞬間に「味が分かる」という感じでしょうか。
「普通」だからこそ、安心して食べられるんです。

越路弁当

越路弁当

「越路弁当」の名にふさわしく、ふたを開けると、新潟県の鉄道路線網が現れます。
そして最大の面積を占める地元産コシヒカリの「白いご飯」は、もちろん冷めても美味しい!
構成は昔ながらのものですが、白飯・おかず共にボリューム抑えめで、そこは現代の幕の内。
塩鮭も、塩辛さ控えめなのが嬉しいものです。
日本最大級の米どころでいただく幕の内駅弁、ある意味、最大の贅沢といってもいいでしょう。


●日本海や上越国境の山々を眺めて「池田屋」の駅弁を!

 

青海川駅

青海川駅

―「池田屋」の駅弁が一層美味しく食べられるお薦めの車窓はありますか?

やっぱり信越線ですね。
青海川の海がパーッと開けた瞬間が、私は好きです。
あと、上越線ですと“上越国境越え”ですかね。ループ線とかモグラ駅とか。
私、「連続きっぷ」旅好きで、わざわざ2枚のきっぷを持って旅行をしたりしていたので、その時の見た時の景色でよく憶えているのが、この区間です。
なので、鯨波や青海川付近の車窓を眺めたり、上越国境の山々を眺めながら、駅弁をいただいてみるといいんじゃないでしょうか?

新井快速

115系電車“新井快速”(新潟色)

―今後、どうやって「池田屋」を盛り上げていきたいですか?

まずは「地元の方に喜んでいただけるお弁当」を作っていきたいと思います。
そして、地元の方に気に入っていただけたら、「長岡にこんないいお弁当があるよ!」という周りの皆さんにお薦めして貰えるようなお弁当が作れるようになったらいいなと思います。

―「地元密着」の取り組みでは、今年は創業130周年ならではの話もあるそうですね?

長岡には「みんな大学@越後長岡」という異業種交流会のようなものがあって、いろんな取り組みが行われています。
実はココで「新作駅弁」を地域の皆さんと一緒に開発しようという話が進んでいるんです。
来年度まで時間をかけて、じっくり腰を据えて取り組んでみたいと考えています。
(永橋ひかる専務インタビュー、終わり)

今回の取材では、インタビューにも登場した「みんな大学@越後長岡」にもお邪魔しました。
次回の「駅弁膝栗毛」では、当ウェブサイト初となる“新作駅弁開発会議”に潜入!
長岡の皆さんと共に、いったいどんな駅弁の“卵”が出来ていくのか???
お楽しみに!

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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