【ライター望月の駅弁膝栗毛】
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383系・特急「(ワイドビュー)しなの」、篠ノ井線・姨捨駅付近
信州を代表する絶景の1つ、姨捨の棚田と千曲川の流れを横目に山を駆け下りていくのは、名古屋~長野間を結ぶ特急「(ワイドビュー)しなの」号。
「しなの」は国鉄時代、最初に車体をカーブに合わせて傾ける「振り子式」の車両(381系)が、投入されたことで有名な特急列車で、現在は2代目の383系電車が活躍中。
中央東線からは振り子式が撤退となりますが、中央西線ではまだまだ活躍が続きそうです。
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とり釜めし
「しなの」では車内販売が無くなってしまいましたが、かつての車内販売や2000年代初頭まで、名古屋駅にも置かれていたのが、塩尻の釜めし駅弁。
当時は駅売りが陶器製、車販がプラスチック製の釜でしたが、今はプラスチック製で統一。
今回はその中から、「とり釜めし」(860円)をご紹介しましょう。
調製元は、もちろん塩尻駅弁の「カワカミ」です。
(参考:2004年当時の駅弁膝栗毛)
http://www.ne.jp/asahi/eki-ben/hizakurige/mochiduki/0404/0404.htm
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とり釜めし
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とり釜めし
「とり釜めし」には、今も昔ながらの掛け紙と綴じ紐が健在。
箸袋も「カワカミ」の釜めし駅弁には、他の駅弁とは異なる独自のものが用いられています。
鶏のから揚げ+鶏そぼろ+野沢菜炒めのテッパントリオも健在で嬉しくなりました。
「カワカミ」の野沢菜炒めは、本当に何度食べても飽きない味なんですよね。
なお、「スーパーあずさ・あずさ」の車内販売では、今もお目にかかれます。
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383系・特急「(ワイドビュー)しなの」、篠ノ井線・稲荷山~姨捨間
「しなの」は通常6両編成ですが、繁忙期などは8両、最大10両編成となることもあります。
特に上りの名古屋行きは、先頭車が自由席で、最前列右側の席はプチ展望席。
ちなみに「しなの」は、今も国鉄時代、“数自慢、かっきり発車、自由席”というキャッチコピーで知られた「エル特急」の指定を受けている特急列車です。
一部の駅の電光掲示には、今も独特な「L」のマークが残っているところもあります。
しかし3月のダイヤ改正で、このしなのをはじめとした列車も「エル特急」指定が解除されて、「エル特急」自体が消滅すると報じられています。
多くの在来線特急が、国鉄時代の「エル特急」のようになった今、敢えて「エル特急」と銘打つ意義も薄くなったということなのかもしれません。
いずれにしても、国鉄の名残を感じる“最後のエル特急”旅、楽しめるのは今だけです。
連載情報
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ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/