修善寺駅「武士のい寿司」(1,100円)~駅弁屋さんの厨房ですよ!(vol.10舞寿し編④)

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】

伊豆箱根鉄道 3000系 駿豆線 三島二日町 大場

伊豆箱根鉄道3000系、駿豆線・三島二日町~大場間

富士山に見守られるように走る、伊豆箱根鉄道駿豆線の列車。
伊豆箱根鉄道3000系は、昭和54(1979)年から平成9(1997)年にかけて作られたこともあり、登場した時代によって、外観が異なります。
特に平成に入って作られた2編成の車両は、省エネタイプの軽量ステンレス製。
伊豆のまぶしい日差しを浴びて、3両編成の列車が軽快に走り抜けていきます。

舞寿し 武士東勢

舞寿し・武士東勢さん

そんな伊豆箱根鉄道・修善寺駅構内で、40年以上駅弁を販売している「舞寿し」。
主にご主人と83歳のお母様、そして奥様の3人で、毎日の駅弁を作っています。
「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第10弾は、「舞寿し」の厨房にお邪魔して、武士東勢(たけし・とうせい)さんに、駅弁のアレコレを伺っています。

駅弁カフェ たけし

駅弁カフェ たけし

―数年前に始められた修善寺駅前の「駅弁カフェ」って、ちょっと面白い取り組みですよね?

「駅弁カフェ たけし」は平成27(2015)年8月15日オープンなので、もう3年目です。
元々、不二家のフランチャイズのお菓子屋さんを一緒にやっていましたから、少しだけですが、喫茶スペースがありました。
一方で、「駅弁をここで食べていきたい」というお客さんの声も活かしたいと思い、このスペースを利用して「駅弁カフェ」としてリニューアルしたんです。

駅弁カフェ たけし

駅弁カフェ たけし

―こちらでも駅弁を販売しているんですか?

当初は駅舎と店舗の両方に駅弁を置いていましたが、ロスになることが多かったので、現在は原則として駅のお店で販売し、食べていきたい方に「駅弁カフェ」をご案内しています。
ただ、お客様が多い土・日などの週末は、「あじ寿司」をコチラにも置いておくこともあります。

駅弁カフェ たけし

駅弁カフェ たけし

―カウンター席には電源コンセントもあって重宝ですし、今どきのカフェという感じですよね?

カフェをやるにあたっては、いろんな駅の様子を参考にしました。
特に東武鬼怒川線の鬼怒川温泉駅には、「BENTO CAFE」というお店があると聞いたので、実際に現地へ足を運んで、とても素敵なお店の様子を見たりしました。
ならば、ウチは、「駅弁カフェ」で行こうとなったんです。
ただ、修善寺は鬼怒川ほどお客さんも多くありませんので、出来る範囲でやろうと・・・。
だから、お客様にコーヒーを入れたら、裏の厨房へ回ってアジの骨を抜いていたりしますよ。

武士のい寿司

武士のい寿司

―修善寺といえば昔から温泉が有名ですが、今は「伊豆市」という括りになっていて、市の名前を冠した駅弁もあるんですよね?

「い寿司」(1,100円)は、伊豆市になった平成16(2004)年に出来た駅弁です。
当時、商工会から合併記念に何か新しいものを・・・という打診を受けていました。
そんな時に、テレビ番組の企画が持ち込まれて「新作駅弁はありますか?」と訊かれたのをきっかけに、伊豆市にちなんで、「い寿司」という新作を作ろうとなりました。

武士のい寿司

武士のい寿司

―「い寿司」は、どんなイメージで作ったんですか?

テーマとしては、合併前の4つの町のいいところ、特色を集めたものです。
ベースは、旧・中伊豆町の「切りだめずし」(注)。
これに天城湯ヶ島のわさびと、蕗の三杯酢漬けを入れました。
土肥は海に面しているのでアジ。
そして、修善寺の椎茸という4つの特色を入れています。

(舞寿し・武士東勢さんインタビュー、続く)

(注)切りだめずし
「切りだめ」とは浅い木箱のことで、普段はついた餅を収めたり、切餅を並べておくのに使う。
この「切りだめ」にすし飯を敷いて軽く押さえて、へらで薄くます目を付けていき、甘く煮付けたシイタケ・ニンジン・ササゲやそぼろ・卵焼きなどの具を置く。元来はへらで切り出しいただく。
(参考:静岡県鮨商生活衛生同業組合HP)

武士のい寿司

武士のい寿司

掛け紙を外し、笹の葉の香りを感じて開けると、パァーッと彩り鮮やかな寿司が現れます。
肉厚の椎茸や人参、魚と卵のおぼろはやや甘めの味付け。
これをわさびの酢漬けが和えられた酢飯がピリッと引き締めてくれて、食欲をそそります。
修善寺温泉はもちろん、浄蓮の滝からの天城越え、土肥の恋人岬など、見どころいっぱいの伊豆市らしい、華やかなちらし風押し寿司です。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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