【ライター望月の駅弁膝栗毛】
猛暑でも、時刻通りに浜名湖を駆け抜けていく東海道新幹線のN700系。
車窓に浜名湖が広がれば、やっぱりあの食べ物が恋しくなります。
そう、この地が養殖発祥の地とされる「うなぎ」です。
発祥には諸説ありますが、明治の中ごろから始まり、明治22(1889)年の東海道本線全通と相まって、東西の中間地点としての地の利を活かし、浜名湖のうなぎは発展していきました。
(参考)浜松市ホームページほか
日中、浜松停車の「ひかり」号は、東京03分発、新大阪43分発の毎時1本。
この「ひかり」号、素晴らしいことに、上下ともほとんどが浜松で5分停まります。
つまり、新幹線の旅でも、浜松でうなぎ駅弁を買う条件は、しっかり整っているんです。
浜松のうなぎ駅弁といえば、何といっても「うなぎ弁当(赤ワイン仕込み)」(2,650円)。
浜松駅弁の「自笑亭」が製造、販売しています。
【お品書き】
・白飯
・うなぎ蒲焼
・わさび漬け
・山椒
2000年代以降、自笑亭のうなぎ弁当は、ワインを使ってふんわりと焼き上げるのが定番。
昔は赤・白それぞれのワインで仕込んだ駅弁がありましたが、香ばしい蒲焼が載った“うなぎ駅弁の王道”ともいうべき“赤ワイン仕込み”のほうが生き残り、現在に至ります。
別添のたれをかけ、山椒やわさび漬けでアクセントをつけながらいただきます。
フワッとした歯触りを感じた瞬間から、幸せな気持ちが溢れていきます。
浜松で駅弁を買い求めると、うなぎ駅弁だけは別に保温ケースに入れられています。
お陰で手にした時にはいつも、ぬくもりが感じられるんです。
この丁重に扱われている様子に、作り手の皆さんの愛を感じずにはいられません。
ちなみにこの日は、わざと少し時間をおいていただきましたが、スッと箸で切れるやわらかさ。
それでいて心地よい歯ごたえのある、さすが“冷めても美味しい”駅弁のうなぎです。
平成14(2002)年7月の「駅弁膝栗毛」でこの駅弁の前身をご紹介した際は1,200円でしたが、16年後の今、昨今のうなぎを取り巻く環境から、価格は2倍以上に・・・。
製造・販売には多々ご苦労があると思いますが、浜松らしさの象徴ともいえる美味しいうなぎ駅弁を続けて下さっていることが、1人の旅行者として何より嬉しいものです。
本日丑の日!猛暑の今年こそ、思いっきり“うなぎ駅弁”とイッちゃいましょう!!
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/