【ライター望月の駅弁膝栗毛】
東京都心と成田空港を直結している、特急「成田エクスプレス」。
多くの列車は成田空港~東京間をE259系12両編成で運行し、東京駅で前6両が横浜方面へ、後6両は新宿方面へと行先が分かれます。
横浜方面は大船まで、新宿方面は池袋・大宮や高尾まで直通する列車もあります。
やっぱり、成田空港から東京・新宿・横浜方面へ乗り換えなしで行けるのは有難いものです。
「成田エクスプレス」は、海外からの方が多く乗車される列車でもあります。
“日本らしい文化”に触れる機会を求めている海外の方にとっても、日本の「駅弁」は注目の的となっていますが、菜食主義、特にヴィーガンの方には、食べられる駅弁がほとんどないというのが1つの課題でした。
そんな海外の方からのニーズを受けて、東京の駅弁を手掛ける「日本ばし大増」が2017年4月から製造、首都圏の「NRE」売店で販売しているのが「菜食弁当」(900円)です。
じつは「菜食弁当」、9月1日から少し掛け紙が変わりました。
「菜食弁当」はその名の通り、肉や魚介類、乳、蜂蜜とそれらに由来する動物性食材を使用せずに作られており、この度、特定非営利活動法人ベジプロジェクトジャパンが定めているヴィーガンの認定基準をクリアし、駅弁では初めて「ヴィーガン」認定を受けました。
これに合わせて、掛け紙にもヴィーガン認定のマークが入ったという訳です。
【お品書き】
・白飯(国産米)・大豆たんぱく(ベジミート)時雨煮 枝豆
・雑穀入り御飯(国産米) ごま
・赤キャベツと糸寒天のマリネ クコの実添え
・豆腐ハンバーグ和風あん 舞茸煮 飾り人参煮、
・車麩唐揚 彩り野菜添え(ズッキーニ、アスパラガス、赤パプリカ、玉葱)
・煮物(南瓜、穂筍、蓮根、そら豆)
・ひじき煮
煮物には昆布だしを使い、おかずにも豆腐ハンバーグや車麩の唐揚げなど、動物性食材を使わずに、ボリューム感を保つのに工夫と手間をかけたという「菜食弁当」。
以前、海外出身のヴィーガンの方が「日本の駅弁は興味深いけど、ほとんど肉と魚ばかりで、安心して食べられるのが、いなり寿しくらいしかない」と仰っていたのを思い出しました。
その意味でも、東京駅とその周辺で、この駅弁が販売される意義は大きいと思います。
ちなみに「菜食弁当」、全部で500kcalなので、ヴィーガンではない方にとっても、ヘルシー感あふれる駅弁となっています。
この「菜食弁当」、じつは海外進出が決まっています。
日仏友好160周年に合わせて、フランス・パリで行われている「ジャポニズム2018」の一環として、10/30~11/30までの1か月間、フランス国鉄のパリ・リヨン駅に臨時の駅弁売場が設けられ、ココでパリ仕様の「菜食弁当」が販売されることになっているんです。
この取り組みには、NRE・日本ばし大増と共に、大館駅「花善」、一ノ関駅「斎藤松月堂」、大船駅「大船軒」、新神戸駅「淡路屋」の5社が参加します。
日本の「駅弁」から、世界の「EKIBEN」へ。
2010年代の駅弁における、1つの大きな潮流がここにあります。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/