【ライター望月の駅弁膝栗毛】
“新幹線のお医者さん”こと、923形新幹線電気軌道総合試験車「ドクターイエロー」。
ドクターイエローは、およそ10日に1度の周期で、走行しながら電気設備や軌道設備の状態を計測し、新幹線の安全な高速走行を支えています。
走行日は発表されていませんので、出逢えるとラッキーな“幸福の黄色い新幹線”。
この日も白い新幹線に交じって、三島~新富士間を駆け抜けていきました。
東海道新幹線・三島~新富士間は、天気に恵まれれば、富士山をバックに走る新幹線が見られる、日本を代表する鉄道景勝地と言ってもいいエリアです。
秋から冬にかけて、空気が澄んで、富士山に白い雪が積もってくると、一層美しくなります。
特に冬場、富士山がくっきりと見られる日には、地元だけでなく全国各地から多くの方が訪れ、思い思いの1枚をカメラに収めるべく、田園地帯にシャッターの音が響き渡ります。
このエリアへの最寄り駅は、岳南電車・須津(すど)駅、または東海道本線・東田子の浦駅。
「岳南電車」は、東海道本線・吉原~岳南江尾間9.2kmを結ぶローカル私鉄で、元・京王井の頭線の車両が1両になって、のんびりと“第二の人生”を送っています。
岳南電車は全駅で「富士山」が眺められ、ホームのビューポイントには足跡を設置。
乗車券は懐かしい硬券(硬いきっぷ)で、パチンと入鋏してもらうと、旅気分も上々です。
最近は、工場夜景が楽しめる路線としても有名ですね。
「岳南電車」と組み合わせてぜひ乗っていただきたいのが、富士駅~沼津駅間を結んでいる「富士急静岡バス」の富54系統、通称“根方線”。
このバスが走る静岡県道22号・三島富士線(根方街道)は、今も1車線の狭隘区間が多く、すれ違いで頻繁に停まったり、徐行するなど、“昭和の路線バス”がそのまま体験できます。
狭隘区間を走る富士急のグリーンベルトは、もはや“路線バス文化遺産”といった風景!
沼津駅9:00、10:45発の富士駅行は、首都圏からの新幹線撮影にも重宝です。
富士急バスはSuica/PASMOにも対応しており、小銭いらずなのも有難いところです。
そんな根方線の路線バスが発着する沼津駅の駅弁屋さん「桃中軒」が、今年2月に発売して反響を呼んでいるのが、「こだわりの焼き魚弁当」です。
この駅弁、ベーシックな「白めしタイプ」に100円プラスで、「桜えびめしタイプ」(1,180円)に!
駿河湾で獲れるご当地の味・桜えび。
春と秋は桜えび漁のシーズンということで、今回は「桜えびめしタイプ」をチョイスしました。
【お品書き】
・銀鮭の西京焼き
・桜えびのかき揚げ
・煮物(筍、人参、椎茸、絹さや)
・春雨サラダ
・玉子焼き
・香の物
・桜えびめし
港町・沼津の駅弁屋さんにふさわしく、“冷めても固くならない、美味しい焼き魚”を目指して、魚選び、魚に合った調理法にこだわって作られている「こだわりの焼き魚弁当」。
9月14日から、魚がこれまでの鰆に代わって、「銀鮭の西京焼き」となりました。
ご飯(桜えびめし)にお櫃効果のある木製容器を使っている点、煮物も料理人さんが1種類ずつ丁寧に煮含めている点も大きな「こだわり」です。
西京味噌に漬けられ、焼き上げられた銀鮭は、鮭のうま味が引き出された優しい味。
「桃中軒」によりますと、女性の方には魚が少し大きいかなぁという心配もあったそうですが、箸がスッと入って、心地よく身がほぐれていくので、ご飯と一緒にどんどん進みます!
しっかり骨も取られた丁寧な作りに、魚への愛も感じられました。
今のところ、来年(2019年)2月末まで、銀鮭バージョンで販売予定だということです。
東海道新幹線では、三島駅で買える「桃中軒」の駅弁。
富士山、中伊豆・西伊豆エリアの旅の思い出に・・・。
あるいは東京~名古屋~大阪の移動でも、のんびり「こだま」をチョイスすれば、三島で5分程度停まる列車も多く、この停車時間を使って、ホームの売店で買い求めることも出来ます。
秋の装いとなった駅弁で季節を感じながら、東海道の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/