【ライター望月の駅弁膝栗毛】
相模湾、真鶴半島、その向こうに伊豆半島の山並みをバックにしながら、251系電車の特急「スーパービュー踊り子」号が東京方面へ上っていきます。
青い空、青い海、青い電車、青々とした草木の中に、パッと赤く咲いているのは曼珠沙華。
秋の彼岸前後、初秋の時期だけ楽しめる鉄道風景と言ってもいいでしょう。
そういえば、雲も秋らしい雲に変わってきていますよね。
そんなトレインウォッチングが楽しめる場所のそばには「石橋山古戦場」の石碑が・・・。
石橋山は治承4(1180)年、源平合戦で源頼朝が挙兵した地として知られています。
いわゆる「石橋山の戦い」は、今の暦に直すと、ちょうど9月の中ごろ。
この青い空の下、青い海を眺めて、頼朝は新しい国づくりに立ち上がったのでしょうか。
東海道本線随一の車窓を誇る早川~根府川間は、歴史散策も楽しめる区間です。
とくれば、駅弁も歴史あるモノをチョイス。
昭和46(1971)年誕生、既に50年近いロングセラー駅弁となっている小田原駅の「こゆるぎ茶めし」(830円)をいただきました。
今年、創業130周年を迎えた「東華軒」が製造。
駅弁膝栗毛では、この豪華版に当たる「デラックスこゆるぎ」をご紹介しています。
【お品書き】
・鯛めし
・海老フライ
・玉子焼き
・蒲鉾
・煮物(筍、人参、ふき、椎茸)
・あさり佃煮
・大根つぼ漬け
・わさび漬け
小田原の梅樽ゆかりの曲げ物の容器には、昔ながらのたっぷり盛られた茶飯に、名物「鯛めし」でおなじみ、鯛のおぼろとえびフライが載っている“海老&鯛”駅弁。
やはり、鯛めしとおかずを一緒に食べられるのが、のちに豪華版の駅弁が生まれても、この駅弁が生き残っている理由の1つかもしれません。
ベーシックな煮物、東海道沿線らしいわさび漬けの存在も、ロングセラー駅弁ならではの落ち着きのようなものを感じさせてくれます。
「スーパービュー踊り子」号は、平成2(1990)年のデビュー。
今もちょっぴりバブル感のある作りの251系電車は、平成という時代と共に歩んできた車両といっても過言ではありません。
9月はもう1回、10月、11月、12月にも、三連休がある“平成最後の”秋。
時の流れを感じながら、伊豆・箱根エリアの旅というのも良さそうです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/