【ライター望月の駅弁膝栗毛】
岡山~高知・中村・宿毛間を結ぶ、土讃線の特急「南風(なんぷう)」。
多度津を出た下り列車は、振り子を利かせ左に大きく弧を描いて土讃線に入って行きます。
「南風」は前回ご紹介した予讃線の特急「しおかぜ」同様、昭和47(1972)年3月、山陽新幹線岡山開業に合わせて誕生した、四国で初めての特急列車。
30年前、瀬戸大橋線の開業で、共に高松発着から岡山発着に変更され、現在に至ります。
通常はJR四国2000系気動車の3両編成で運行されている「南風」。
利用者が多い時期などは、しばしば車両の増結が行われます。
また、宇多津~高知間で高松発着の特急「しまんと」を併結する列車や、宇多津~岡山間で徳島発着の特急「うずしお」を併結する列車もあります。
自力で動くことが出来る気動車の特急ならではのフレキシブルな運用も特徴の1つです。
穴子や鯛など魚介系が多い高松の駅弁に9月1日、待望の牛肉駅弁が誕生しました。
その名も、香川県産黒毛和牛を使った「オリーブ牛 牛肉弁当」(1,300円)!
香川県の小豆島は、日本のオリーブ栽培発祥の地。
農家がオリーブオイルを搾った後の実をエサにして育てた讃岐牛を「オリーブ牛」というそうで、岡山駅弁の「三好野本店」が製造、「ステーションクリエイト東四国」が販売しています。
以前ご紹介した「骨付鳥弁当」に続く、四国ご当地駅弁の第2弾という位置づけです。
【お品書き】
・白飯
・香川県産オリーブ牛のしぐれ煮
・厚焼き玉子
・がんも含め煮
・椎茸煮
・人参煮
・さくら漬け
三好野本店とステーションクリエイト東四国が共同開発した「オリーブ牛 牛肉弁当」。
肉駅弁は“脂との闘い”とも言いますが、この「オリーブ牛」、実は「脂肪の質」がウリ。
“和牛のオリンピック”と云われる大会で、「オリーブ牛」は口どけがよく、体にやさしいことから、「脂肪の質」の部門で、見事日本一を獲得した実績を持っているんです。
さらに、地元・小豆島の醤油と、香川大学が研究をリードする希少糖を使った甘めのたれに、肉のうま味がよく馴染んでいて、冷めても美味しい牛肉駅弁を実現。
食後にもたれることなく、優しい味わいが体にスッと入っていきました。
険しい四国山地を前に、讃岐平野の「南風」は、まだまだ足慣らしといったところ。
「南風」の一部列車では、丸亀~琴平間で車内販売が行われています。
ステーションクリエイト東四国によると、この「オリーブ牛 牛肉弁当」もラインナップに加わり、早速、好評を博しているということです(予讃線「しおかぜ」では丸亀~観音寺間で販売)。
新作牛肉駅弁を味わった頃には、「南風」はいよいよ本領発揮、パワフルな峠越えです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/