【ライター望月の駅弁膝栗毛】
瀬戸内海に沿って予讃線を走るJR四国の8000系特急電車。
新幹線のような流線形の顔で、カーブで車体を傾けることが出来る振り子式の車両です。
岡山~松山間で運行されるのが「しおかぜ」、高松~松山間を結ぶのが「いしづち」。
多くの列車で、宇多津(香川県)などで分割・併合が行われ、多度津以西の単線区間では、「しおかぜ・いしづち」は1本の列車として運行されています。
8000系と共に活躍する「8600系」は一転、蒸気機関車をイメージしたという顔つきの電車。
平成26(2014)年にデビューした空気ばねで車体を傾けるタイプの新型車両です。
車内は普通車にも全席に電源コンセントが設置されており、岡山~松山間のおよそ3時間を快適に過ごすことが出来ます。
現在のダイヤでは、5往復の「しおかぜ」、6往復の「いしづち」で活躍しています。
今年(2018年)で、開業30周年を迎えた「瀬戸大橋線(本四備讃線)」。
それ以前、本州と四国の間は、国鉄(JR)の「宇高連絡船」で結ばれていました。
瀬戸大橋建設のきっかけになったとされるのが、昭和30(1955)年に修学旅行生など多くの犠牲者を出してしまった宇高連絡船・紫運丸の沈没事故です。
原因の1つとして考えられているのが、瀬戸内海に発生しやすい「濃霧」。
春から夏にかけて梅雨時などに発生しやすいとも云われ、高松へ飛行機で入ろうとすると、濃霧のために着陸できず、羽田(成田)などへ引き返してしまうこともままにあります。
(参考)高松地方気象台ホームページ
瀬戸内海が車窓の友となる、特急「しおかぜ・いしづち」。
そんな予讃線の旅にピッタリの駅弁が、「真鯛ブリ穴子の弁当」(1,000円)。
岡山駅弁「三好野本店」が去年から販売しており、今年9月からリニューアルされました。
当サイトでは以前「みかんブリの西京焼き弁当」(販売終了)をご紹介しましたが、これに真鯛と穴子が加わって、3つの味が一緒に楽しめるようにバージョンアップされた格好です。
【お品書き】
・国産真鯛の鯛めし
いくら醤油漬け
・愛媛県産みかんブリの西京焼き
錦糸玉子、紅生姜、白飯
・焼き穴子
刻み海苔、味付けご飯
“海のご馳走を詰め込んだ魚三昧のお弁当”がキャッチフレーズ。
柑橘系の香りが心地よく、鼻にスッと抜けていく愛媛県産「みかんブリ」の西京焼きの美味しさはそのままに、国産真鯛のほぐし身が載り、出汁がきいた鯛めしも箸が進む逸品です。
また、ご飯も鯛めし、白飯、味ご飯と、魚介に合わせて3つの味が楽しめるのが嬉しいところ。
量もそれぞれ70gに抑えられ、完食しても茶碗大盛り程度なのは有難いものです。
やっぱり海の見える路線には、海の幸を合わせていただくと、旅気分もノッてきますよね。
実は今回、私自身、飛行機で高松入りを試みて、濃霧で引き返し、鉄道移動に…。
開業30年の年に、改めて瀬戸大橋の有難さを、身を持って体感することになりました。
その意味でも、より『確実に』本州・四国を行き来するなら、やっぱりJR!
東京からの寝台特急「サンライズ瀬戸」が残っているのも、大いに意義がある訳です。
この秋は改めて、瀬戸大橋を鉄道で渡ってみませんか?
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/