【ライター望月の駅弁膝栗毛】
岡山から瀬戸大橋を渡って、南国・高知を結ぶ特急「南風(なんぷう)」。
日中は上下共に毎時1本ずつが運行されており、発車時刻も分かりやすく岡山が毎時05分、高知が毎時13分に統一されています。
東京毎時30分発・岡山上り毎時53分発の東海道・山陽新幹線「のぞみ」と接続。
土佐くろしお鉄道の宿毛(すくも)まで足を伸ばす列車は、所要時間およそ5時間となります。
3両編成のうち、高知方の貫通扉のない先頭車(1号車)には半室のグリーン席があります。
1号車の半分と2号車の半分が普通車指定席、残りは普通車自由席となるのが一般的。
指定席と自由席が同居する車両では、シートカバーの色を変えて区分しています。
四国の特急は自由席が多めですが、繁忙期でなければ、だいたい座れる印象。
お遍路の方がフラっと乗ってきたりするのも、四国らしさを感じさせてくれるものです。
「南風」が発着する高知駅のある県庁所在地・高知市には、有名な「日曜市」があります。
江戸時代、元禄の頃から、年末年始とよさこいの期間を除いて、毎週日曜日に開催されているという伝統の「日曜市」。
そんな「日曜市」にお店を出しているオバちゃんたちが食べていそうなお弁当をイメージして出来たのが、高知駅弁「仕出しのあんどう」が作る「日曜市のオバア弁当」(1,050円)です。
【お品書き】
・田舎寿司(りゅうきゅう・みょうが)
・海老天
・赤魚
・かに風味団子
・牛肉煮
・大根煮
・玉子焼き
・金時豆
平成22(2010)年夏に、土佐駅弁学会との共同開発で登場した「日曜市のオバア弁当」。
8年前とはだいぶ変わっていますが、基本は高知名物の「田舎寿司」が入っていること。
田舎寿司とは、酢飯に柚子酢を効かせて、山里の食材で作った寿司なんだそう。
特に面白いのが、緑色の「りゅうきゅう」!
「仕出しのあんどう」によると、「りゅうきゅう」はハスイモの茎を塩もみにした高知ではごく普通の食材だそうで、海あり県なのに、魚を使わないで寿司を作るのも興味深いものです。
観光客には、このようなご当地の食文化に気軽に触れられることが、駅弁のいいところ。
実際、お店にも、駅弁の田舎寿司には県外の方から大きな反響があるそうです。
岡山~高知間は、およそ2時間半の旅。
土佐藩は坂本龍馬をはじめ、幕末から明治にかけての多くの偉人を輩出した地です。
明治維新150年の今年だからこそ、訪れたい地域でもあります。
そんな高知でいま、注目を集める観光列車に乗車が叶いました!
次回、いよいよその列車に乗車します!
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/