【ライター望月の駅弁膝栗毛】
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N700A「のぞみ」、山陽新幹線・西明石~姫路間
東京を毎時50分発の東海道・山陽新幹線「のぞみ」号で3時間あまり。
最高時速300kmを誇る16両編成の新幹線が速度を落としながら市川の橋梁を渡ると、国宝の城の街・姫路に到着します。
姫路停車の「のぞみ」は、鳥取方面への特急「スーパーはくと」、播但線・但馬地方への特急「はまかぜ」などと接続、乗り換えのお客さんは駅弁を買い求めて行きます。
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まねき130年記念弁当
姫路の駅弁屋さんといえば、明治21(1888)年創業の「まねき食品」。
今年(2018年)で、創業130周年の節目を迎えました。
まねき食品と言えば、日本初の幕の内駅弁を販売したとされる老舗駅弁屋さん!
じつはいま、その重厚な歴史を感じさせる記念駅弁「まねき130年記念弁当」(1,300円)が販売されています。
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まねき130年記念弁当
上蓋を外すと、12個のマスに兵庫県播磨地方など、地元食材をメインに使ったバラエティ豊かなご飯やおかずが溢れています。
蓋に描かれているのは、姫路市在住の版画家・岩田健三郎さん作の「まねき ありがとう130年」と題したオリジナル作品で、地元の方ならではの温かい雰囲気。
版画の部分が裏のお品書きと共にカードになっていて、持ち帰りOKなのも嬉しいですね。
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まねき130年記念弁当
【お品書き】
・白飯 小梅のせ
・赤飯 栗のせ
・だし御飯 刻み穴子のせ(まねきのえきそば出汁)
・銀鮭 赤穂塩焼
・大根煮 生姜あんかけ(姫路おでん風)
・姫路蓮根 磯辺揚げ
・淡路玉葱 甘酒和え
・里芋 安富柚子だれ仕立て
・さつまいも 安富柚子マーマレード和え
・海老 紅白なます
・但馬牛 煮付
・兵庫県産黒豆煮
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まねき130年記念弁当
「まねき食品」総料理長・渾身の一作という「まねき130年記念弁当」。
なかでも、十八番の煮物、特に姫路おでん風・生姜あんかけの大根煮は美味しい!
冷めてもほどよいウェットさで、煮汁が心地よく体に浸透していくような感じがします。
駅弁の煮物のなかでも、これは特に魂が込められた煮物と言ってもいいでしょう。
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まねき130年記念弁当
そして、「えきそば」の出汁で炊いただしめしの上には、これまた十八番の刻み穴子!
赤穂の塩を使った銀鮭焼も、食材のよさを引き出したやさしい味わい。
まねき食品130年の技が惜しむことなく注ぎ込まれ、ギュッと凝縮された記念駅弁です。
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N700系「さくら」、山陽新幹線・西明石~姫路間
先日、台湾・台北に続いて、タイ・バンコクへの出店も果たした「まねき食品」。
まねき食品によると、「まねき130年記念弁当」は、いまのところは年内、版画のパッケージが無くなるまで販売する予定だということです。
日本で初めての幕の内駅弁を販売した駅弁屋さんらしい、手の込んだ記念駅弁。
秋から初冬にかけて姫路を訪れる予定の方は、ぜひいまだけのプレミアムな駅弁を片手に、130年の重みを感じてみてはいかがでしょうか。
連載情報
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ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/