【ライター望月の駅弁膝栗毛】
381系電車・特急「やくも」が渡って行くのは、岡山を代表する川の1つ・高梁川。
今年夏の西日本豪雨では、高梁川流域の河川が氾濫し、大きな被害となりました。
伯備線の車窓にも、豪雨による増水でなぎ倒されたであろう河畔の木々が見られますが、普段の高梁川は、水鏡ができるくらい美しくゆったりと流れています。
自然は猛威を振るうこともあれば、心に潤いを与えてもくれるのです。
この高梁川に沿って走る伯備線は山陽本線・倉敷と山陰本線・伯耆大山(ほうきだいせん)を結ぶ路線で、多くの列車が山陽側は岡山、山陰側は米子以遠に直通しています。
特急「やくも」の合間を縫うように普通列車も走っており、倉敷~備中高梁間はほぼ毎時2本、新見までは毎時1本程度、新見以北は概ね2~4時間に1本程度となります。
なかには、特急の通過待ちやすれ違いなどで、長い停車時間のある列車もあります。
この岡山県北部を代表する観光エリアといえば、「蒜山(ひるぜん)高原」。
公共交通では、姫新線の中国勝山駅からバスとなりますが、クルマの運転ができるなら、新見でレンタカーを借りて、湯原温泉などと組み合わせて巡るのが効率的です。
そんな蒜山高原にちなんだ岡山駅弁が、2018年9月から登場しています。
「三好野本店」の「ひるぜん高原の赤ワインを使った牛焼肉弁当」(1,000円)です。
【お品書き】
・白飯
・国産牛肉と玉ねぎの焼肉炒め(赤ワイン風味)
・野菜ナムル
・厚焼き玉子
・さくら漬け(漬け物)
・糸切り唐辛子
蒜山高原の赤ワイン「ひるぜんワイナリー」の「ひるぜん赤」を使い、国産牛肉と玉ねぎを焼肉風に仕上げたという、ほのかにワインの風味も感じられそうな新作駅弁。
興味深いのは「ひるぜんワイン」というワインは、日本固有の山ブドウで作っている点で、野生から糖度が高く酸味が少ない木を10年かけて選抜し、栽培していると言います。
山ブドウが隠し味の焼肉弁当というのも、岡山ならではの珍しい味ですよね!
岡山エリアの復興を、観光で少しでも応援できたら…という方も多いと思います。
鉄道で巡るなら、JR西日本の「吉備之国くまなくおでかけパス」がお薦め。
岡山を拠点に倉敷、宇野、津山、新見、福山、尾道まで1日乗り放題で1,980円。
1人でも利用でき、首都圏などの方は、利用前日までにウェブサイト「e5489」でクレジット決済すれば、きっぷの受け取りは、当日・岡山に入ってからでも大丈夫です。
瀬戸内や中国山地ののどかな風景を、ご当地の味と一緒に楽しんでみませんか?
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/