【ライター望月の駅弁膝栗毛】
海を渡る快速列車、岡山~高松間の「マリンライナー」。
瀬戸大橋線開業に伴う、昭和63(1988)年の運行開始から今年で30年を迎えました。
現在の「マリンライナー」は、JR四国5000系とJR西日本223系による5両編成。
日中を中心に、岡山12・42分発、高松10・40分発の分かりやすいダイヤが組まれていて、最速52分で本州と四国を結んでいます。
「マリンライナー」の目玉は、何と言ってもJR四国5000系電車の2階建て車両。
高松寄りの1号車で、2階はグリーン席、1階は普通車指定席となっています。
どちらもリクライニングシートですので、駅弁好きには有難い座席。
運転席横には4席だけグリーン席のパノラマシートもあり、下り列車で展望を楽しめます。
ネット予約などをする際は、通常の列車の隣に「マリンライナー(パノラマシート)○○号」と表示された方を選択すると、このパノラマ席を押さえることが出来ます。
瀬戸大橋ができて30年、瀬戸内海に橋が架かる風景も、すっかり定着しました。
「マリンライナー」の車窓から眺める瀬戸内海はもちろん、鷲羽山展望台などに登れば、瀬戸大橋を渡って行く列車を眺めることもできます。
週末にはJR児島駅発着で下津井電鉄バスの「鷲羽山夕景鑑賞バス」(510円)も運行。
日の入りに合わせ、夕景の美しい場所でおよそ15分の鑑賞時間が設けられています。
鷲羽山のふもと・下津井はたこが名物。
特に11月からの寒ダコは、1年のうちでも特にうま味が凝縮されたタコと評判です。
たこ漁も盛んな海を眺めて、瀬戸大橋を渡りながらいただきたい岡山の駅弁といえば、「瀬戸内産たこ飯三昧弁当」(1,200円)。
「三好野本店」が今年9月1日から登場させた、新作のたこ駅弁です。
(参考)岡山県観光連盟ホームページ
【お品書き】
・白飯、刻み海苔
・瀬戸内産真だこの唐揚げ(甘辛だれ)
・厚焼き玉子
・お好みマヨネーズ・味付けご飯、青海苔
・瀬戸内産真だこの味付け煮
・煮物(椎茸、人参)
・さくら漬け(漬け物)
・錦糸玉子
瀬戸内産の真だこを使った、唐揚げと味付け煮の2つの味が楽しめるたこ飯です。
さりげなく書きましたが、じつは“瀬戸内産”と銘打ったタコ駅弁というのは、すごく希少!
唐揚げには白飯+刻み海苔、たこ煮には味ご飯+青海苔と、調理法に合わせてきめ細かくご飯の味を変えているのも面白く、食べる人を飽きさせない作りになっています。
この2つのたこ飯に、おかずとして厚焼き玉子、煮物、香の物が添えられています。
特にたこの唐揚げを入れて来たのが珍しい印象。
お好みで付添のマヨネーズをかけることもできて、濃いめの味を楽しむこともできます。
三好野本店によると酒の肴としても楽しめるように…ということで好評を博しているそう。
確かにコレは、お酒好きの方なら、一杯やりたくなる味!
各社競争が激しいなか、瀬戸内産へのこだわりと工夫があふれた、岡山のたこ駅弁です。
現在、「マリンライナー」として活躍するJR四国5000系+JR西日本223系電車は、15年前の平成15(2003)年にデビューした車両です。
運行開始時から活躍した213系電車は、いまも岡山の普通列車などでお目にかかれます。
朝のラッシュ時などは、「マリンライナー」当時を彷彿とさせる6両で走る列車も…。
JR西日本と四国のコーポレートカラーを帯に巻いて、最後の国鉄形車両はまだまだ活躍してくれることでしょう。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/