【ライター望月の駅弁膝栗毛】
千葉の普通列車として活躍する209系電車。
かつて京浜東北線を走った車両を改造、運転台のある車両にボックスシート、中間車の一部にトイレを設置して、長時間乗車も可能なリニューアルが行われました。
房総とはいえ、冷たい風が吹きこむ今の時期は、1両4ドアのうち、3つのドアを締め切ることが出来る機能もあり、単線区間の列車行き違い時などに活用されています。
多くの乗客を乗せて東京都心をスルーしていた京浜東北線の苛酷な運用から外れて、海の見える区間を菜の花に囲まれて走る209系電車。
ゆったり優雅な“第二の人生”といった印象も受けますが、これも東日本エリアの新しいスタイルの電車を切り拓いた功績ゆえでしょうか。
特に内房線の館山~安房鴨川間は乗客も少なめで、のどかな旅が楽しめます。
すっかり「千葉の顔」となっている209系電車ですが、“千葉の駅弁”という括りにした時、特徴的なのは「ワンコイン駅弁」が根強い人気を誇っていることかもしれません。
安房鴨川駅弁「南総軒」で人気を集めるのは、「あさりめし」(500円)。
鴨川駅のNEWDAYSにもひと際高く積まれており、人気の高さが伺えます。
南総軒によると、元々は鴨川に団体でいらっしゃる方向けに開発された駅弁で、今では鴨川の大きな病院に通院されている方にも、この駅弁を楽しみにしている方が多いとか。
(南総軒)
https://www.nansoken.jp/
【おしながき】
・あさりの炊き込みご飯
・豚の串カツ
・ごぼう巻
・玉子焼き
・ひじき煮
・しば漬け
あさりを醤油ベースであっさりと炊き込んだという「あさりめし」。
この炊き込みご飯、しっかりおこげが付いていて、手作り感が伝わってきます。
串カツ、玉子焼き、ごぼう巻も載って、“鴨川の常連さん”も納得の味です。
東京~安房鴨川間の特急列車、千葉~安房鴨川間の普通列車、共におよそ2時間の旅に特化した、小腹を満たしてくれる手ごろな駅弁です。
すっかり海のある景色に馴染んだ千葉の209系電車。
特に4両編成を2つ繋いだ8両の列車に当たると、8両中半分の4両がボックスシートのある列車となり、長距離乗車にはもってこいとなります。
ボックスシートで足を伸ばし、光り輝くまぶしい海を眺めて、房総のんびり鈍行旅。
ひと足早い春気分を感じに、今が出かけ時です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/