【ライター望月の駅弁膝栗毛】
残雪が輝く月山の山並みをバックに、山形盆地を軽快に走り抜けるスカイブルーのディーゼルカーは、左沢線(あてらざわ・せん)の列車。
左沢線は、沿線にさくらんぼやラ・フランス、リンゴなどの果物の産地があることから、「フルーツライン左沢線」の愛称でも親しまれています。
日中は山形~寒河江間で概ね毎時1本の運行、一部列車が左沢まで足を伸ばします。
大正11(1922)年、奥羽本線の北山形と最上川舟運で栄えた左沢の間を結ぶ軽便鉄道として全通した左沢線は、あと3年で開業100年を迎える歴史ある路線です。
左沢線の列車は、北山形からそのまま奥羽本線に乗り入れ、山形駅まで直通します。
霞城公園の桜が見ごろの時期は、左沢線の列車もゆっくり徐行。
ときには隣の標準軌の線路を走る、山形新幹線「つばさ」とのジョイントも見られるかも!?
左沢線沿線最大の街・寒河江(さがえ)は、山形を代表するさくらんぼ産地の1つ。
寒河江市内には、さくらんぼの観光農園もあり、間もなく迎える旬の時期には、さくらんぼ狩りを楽しむことができます。
6月15・16日、22・23日の週末には、山形~寒河江間で臨時のトロッコ列車「さくらんぼ風っこ」号の運行も予定されています。
(参考)JR東日本ニュースリリース
フルーツ&スイーツ大好き女子の皆さんにもピッタリの山形駅「もりべん」の駅弁と言えば、森弁当部時代からある「女性のための幕の内弁当」(1,100円)。
可愛らしい掛け紙ですが、もちろん男性でも購入、いただくことができます。
当時、女性の皆さんから、揚げ物や肉の少ないお弁当が欲しいというリクエストがあって、カロリー控えめで、いろいろな味が楽しめる幕の内弁当が誕生したと言います。
【おしながき】
・ご飯(山形県産つや姫)
・煮物(ぜんまい・揚げ麩・蒟蒻・生麩)
・焼き塩鮭
・煮びたし(小松菜・油揚げ・椎茸)
・鶏つくね串
・にしん昆布巻
・厚焼玉子
・蒲鉾
・金時豆煮
・人参の甘煮
・大根の味噌漬
・さくらんぼ酢漬
・梅干
「もりべん」のラインナップのなかでは、「やまもり弁当」と共に「つや姫」を使った駅弁。
炭水化物控えめのトレンドを反映し、ご飯少なめ、おかずの数多めのいまどき幕の内です。
焼き魚は鮭、もりべん自慢の玉子焼き、蒲鉾と、三種の神器もしっかりそろい踏み。
ハート形の飾り人参で可愛らしさ、さくらんぼの酢漬けで山形らしさが感じられます。
「女性のため…」と銘打ってはいますが、男性でも十二分に楽しめる駅弁です。
蔵王連峰を横に見ながら、下校の通学生たちを乗せて、4両編成で走る左沢線の列車。
朝の通学時間帯は、6両編成で走る列車もあると言います。
北山形~左沢間は、24kmあまり、およそ40分の所要時間。
山形駅からは、およそ2時間あれば、往復乗車を楽しむことができます。
今年のさくらんぼの旬は、左沢線の旅と山形の駅弁も楽しんでみてはいかがでしょうか。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/