【ライター望月の駅弁膝栗毛】
夏本番、甲信の山々や避暑地へ向けて、中央本線を快走する特急「あずさ」号。
この春から中央線特急の「あずさ・かいじ」号は、全車指定席となりました。
スマートフォンをお持ちの方なら、中央線特急に乗ると決まったら、まずは「えきねっと」で乗る列車のシートマップを見ながら座席を予約するのがお薦め。
空席があれば、確実に座れて車内精算より安く、チケットレスならさらにお得です。
お得で確実に列車に座れるなら、やっぱり駅弁を旅の友としたいもの。
全ての「あずさ・かいじ」号が停車する中央本線・甲府駅で、新宿方面行の上り特急列車が発車する2・3番ホームの駅弁売店が、今年(2019年)6月27日にリニューアルオープンしました。
開店したのは、小淵沢駅弁「丸政」が手掛ける新しいブランド「MASAICHI」。
甲府駅では、昨年(2018年)末の駅改札脇に続く2店舗目の出店となります。
早速、新しいお店にお邪魔すると、店内にはジャズが流れ、おしゃれな雰囲気。
スマホでサクサク席を押さえて、スタイリッシュな新しい「あずさ・かいじ」号に乗り込むなら、駅弁屋さんもこのくらいの雰囲気のほうが映えるというものです。
丸政の新ブランド「MASAICHI」は、駅弁だけでなく“丸政が選んだイチバン美味しいもの”を取りそろえたお店で、少量の菓子やつまみなど、小腹を満たすアイテムがいっぱいです。
そんな甲府駅「MASAICHI」2号店のイチオシは、「そば屋の天むす」(750円)。
小淵沢・富士見・長坂をはじめとした丸政の駅そばから生まれた駅弁で、最近は東京駅の「駅弁屋 祭」はもちろん、百貨店などで販売されることもあると言います。
朝、東京駅から新幹線に乗る前に、サクッといただく方も多いのではないでしょうか。
甲府駅ホームの新しいお店には、「そば屋の天むす」専用の棚が設けられていました。
「そば屋の天むす」のこだわりは、「海苔の大きさ」、「お米の炊き方」、「八ヶ岳の清流(水)」、そして小豆島の醤油を使って炊き上げたという「木くらげの佃煮」。
プルンとして出汁のきいた海老天はもちろん、この子持ち木くらげが絶妙の味わいです。
じつは「海苔の大きさ」も味わいに大きな違いを及ぼすそうで、あと2ミリ、海苔の大きさが変わると、全く違った食感になってしまうのだそうです。
「丸政」によると、甲府駅はビジネス利用が多く、新宿までの乗車時間は最速90分弱。
このため、折詰の駅弁よりも、比較的軽めの食事を好まれる方が多いと言います。
そこで従来の改札脇売店を駅弁メイン、ホーム売店は軽めの天むすメインとしたのだそう。
また、駅弁自体も1人でガッツリ1つの折をいただくより、仲間でシェアするケースが増え、手でつまんで一緒に食べやすい“天むす“が人気を集めていると言うんですね。
ちなみに、週末は小淵沢の名物駅弁「元気甲斐」「高原野菜とカツの弁当」の販売もあるという甲府駅の新しい売店「MASAICHI」。
駅弁売り場もまた、令和の新時代にふさわしく、着実に進化を遂げています。
特急列車の車内販売が見直されてから初めてとなる夏休み、中央線の「あずさ・かいじ」号乗車前の売店チェックをお忘れなく!
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/