広島駅「廣島上等弁当」(1188円)~年の暮れの旅は「呉線」!
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【ライター望月の駅弁膝栗毛】
海の見える鉄道路線は、乗っていて気分がいいもの。
瀬戸内随一の車窓を誇る路線と言えば、呉線(三原~海田市間)でしょう。
週末を中心に運行されている観光列車、キハ47形気動車の快速「瀬戸内マリンビュー」が、大久野島をバックにゆっくりと徐行しながらやって来ました。
景色の美しい区間が終わると、再びエンジンを大きく唸らせて加速していきます。
呉線は、山陽本線・三原から海沿いへ分かれて海田市で再び山陽本線に合流する、およそ87Km、普通列車で2時間20分~3時間ほどのローカル線です。
広島都市圏の広島~広間では、快速「安芸路ライナー」をはじめ、多くの列車が運行されていますが、三原~広間は日中1~2時間に1本の普通列車が運行される程度。
昔は軍港・呉を結ぶため、急行などの優等列車が呉線回りで運行されていました。
(参考)JR西日本ホームページほか
呉線は、昭和40年代まで蒸気機関車による汽車が運行されていたと言います。
そんな汽車旅の時代を彷彿とさせてくれる広島駅弁と言えば、「廣島上等弁当」(1188円)。
平成16(2004)年に、山陽本線・糸崎~広島間開業110周年を記念して復刻されました。
「広島駅弁当」が製造、広島駅の各駅弁売場で販売されています。
明治34(1901)年の創業時のものを復刻させたという掛け紙には、当時の路線図や広島駅弁当の前身、「中島改良軒」の文字も見えますね。
【おしながき】
・白飯 梅干し
・ブリの照り焼き
・出汁巻き玉子
・蒲鉾
・煮物(椎茸、筍、蓮根、牛蒡)
・奈良漬け
・広島菜油炒め
綴じ紐をほどいて掛け紙を外すと、いまとなっては希少な経木の2段重が現れました。
幕の内の三種の神器(焼き魚、玉子焼き、蒲鉾)はもちろん、大きな煮物が印象的です。
昔の駅弁は、弁当の構成や折のサイズなども細かく決められていたと言います。
文献を辿り、試行錯誤を重ねながら、復元する形で作られたのが「廣島上等弁当」。
私自身も今回、改めていただいて、とても丁寧な作りをしていることに気づかされました。
手に取ると感じるずしりとした重みは、「歴史の重み」でもあるように感じられます。
平成17(2005)年以来、三原~広島間(呉線回り)で運行されてきた快速「瀬戸内マリンビュー」ですが、今度の週末12月22日(日)で運行を終了します。
合わせて、現在は山陽本線・三原~尾道間を延長運転中。
なお、2020年秋に開催される「せとうち広島デスティネーションキャンペーン」では、新しい観光列車「etSETOra(エトセトラ)」に生まれ変わる予定です。
青春18きっぷシーズン真っ只中、暮れの旅は「呉線」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
(参考)JR西日本ニュースリリース(2019年11月22日分)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/